【92】 1月23日(月)
作 松原敏春
音楽 渡辺俊幸 コンセール・レニエ(演奏)
主題歌 井上陽水
語り 松平定知アナウンサー
時代考証 小野一成
方言指導 有賀ひろみ
資料協力 牛山尭雄
・岡本英治 
小森千晶 細川直美
間宮浩平 榎木孝明
田上 渉 筒井道隆
池田文江 もたいまさこ
川原清三 河西健司
藤原 沖 恂一郎(中野の もと小森屋の卸問屋)
英 出雲崎 良
花江 佐藤春日(だるま食堂のお運びさん)
郵便配達員 角谷栄次(渉からのエア・メールを配達)
看守 田辺日太
刑務所の看守
鳳プロ
小森弥之助 小林桂樹
野中辰彦 児玉 清
黒田忠治 佐藤B作
小森晶乃 岸田今日子
小森友行 石坂浩二
制作統括 西村与志木
美術 荒川 敬
技術 三島泰明
音響効果 平塚 清
記録・編集 阿部 格
撮影 熊木良次
照明 関 康明
音声 本 弘
映像技術 沼田繁晴
演出 田中賢ニ・六山浩一
解説(副音声) 関根信昭
・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★
何通かの手紙の中に、「田上渉」の字を見た千晶は裏庭に行き手紙を読む。
ハロー小森。ハリウッドは今、夜。
オレは眠い目をこすりながらこの手紙を書いている、いい知らせだ。
オレはパラマウント社に採用された
ちょうど浩平がやって来て、渉からの手紙を見せる千晶。
「良かったわ」「本当に、本心から?」
「もちろん」
「好きな人がアメリカに渡って骨をうずめる覚悟だと書いてきてるんだよ」
「皮肉な言い方をするんですね。田上君自分の夢が現実になったんですもの
良かったに決まってるじゃない」
「じゃ、もひとつ皮肉な言い方を。君の思いはどうなるんだ?
そんなに深く思ってはいなかったということじゃないか?」
気分を害して席をたつ千晶。
「君は強いよ」と更に話し掛ける浩平。「また皮肉?」
「本心から。お母さんが亡くなって田上君がアメリカに渡っても
笑顔で仕事に打ち込もうとしている。見習わないとね。
ボクをガラクタじゃないと言ってくれたよね。嬉しかった。
何か1つを完成させて自分がガラクタじゃないことを証明しようと
思って・・・・ ガラクタ人間の卒業だ」
夜、布団の中で渉の手紙を思い起こす千晶。
「日本には二度と帰らないつもりで、やれるところまでやってみる。
もう会うことも無いだろうが、
GOING MY WAY で頑張ってくれ」
翌日、もと小森屋の卸問屋をしていた中野の藤原さんが、
だるま食堂を訪問する。
3月31日の配給公団の解散に向けてアドバイスに来たのだ。
中野の藤原さんは、自分達もと卸問屋の5軒は、再開できないかわりに
他の小売店に
「小森屋のお嬢さんが根津の方で食堂をやっているから
時間があったら、いって見てくれ」と紹介していたのだった。
何人も食べに来ていて「さすが弥之助さんの味噌だ」と評判はよく、
何軒かが「小森屋さんの味噌を扱わせてもらえないか」
と言って来ているというのだ。
藤原さんは近々連れてきて会わせるから と言ってくれる。
更に、配給公団が解散になったら、かつての問屋だった人が、
小売店と製造元の奪い合いになり、落ちこぼれになる人もいるから
そこに食い込むといいとアドバイスをくれる。
小森屋味噌蔵
友行が千晶からの電話の内容を弥之助に知らせにくるが、
ちょっと様子が違い はしゃいでいる。
「お義父さん、いい話なんです。聞きたいって言って下さいよー」
夕飯時
「問屋さんがだるま食堂に集まるのは明後日なんですよ」と友行。
弥之助は「友さん、顔つなぎにいってくれ」と頼む。
友行は妙に張り切り
「そうですよね。行ってきます、浩平さんの件もあるんで」と言うが
晶乃は
「まだ、縁談はちょっと・・ね。晶子が亡くなったばかりだし」と釘をさすが
「わかってますよー。なんとなくですよ、なんとなく聞くんです。」と
まだ食事中なのに「えーと、汽車の時間、帰社の時間」と立ち上がる。
そして、戻って来てたくあんを立ったまま齧り、うろうろする。
その様子に顔を見合わせる弥之助と晶乃、清三と英。
「友行さん、このところちょっとはしゃぎすぎなんですよ」
友行は東京に向かう汽車の中でポケットウイスキーを飲んでいる。
しかし、その表情は今度はとても硬く、何かを考え込んでいる。
東京についた友行がまず向かったのは刑務所だった。
面会室に、野中が看守に連れられてやってくる。
まず頭を下げる野中。
「小森友行です」
「野中辰彦です」
(つづく)
作 松原敏春
音楽 渡辺俊幸 コンセール・レニエ(演奏)
主題歌 井上陽水
語り 松平定知アナウンサー
時代考証 小野一成
方言指導 有賀ひろみ
資料協力 牛山尭雄
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小森千晶 細川直美
間宮浩平 榎木孝明
田上 渉 筒井道隆
池田文江 もたいまさこ
川原清三 河西健司
藤原 沖 恂一郎(中野の もと小森屋の卸問屋)
英 出雲崎 良
花江 佐藤春日(だるま食堂のお運びさん)
郵便配達員 角谷栄次(渉からのエア・メールを配達)
看守 田辺日太
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鳳プロ
小森弥之助 小林桂樹
野中辰彦 児玉 清
黒田忠治 佐藤B作
小森晶乃 岸田今日子
小森友行 石坂浩二
制作統括 西村与志木
美術 荒川 敬
技術 三島泰明
音響効果 平塚 清
記録・編集 阿部 格
撮影 熊木良次
照明 関 康明
音声 本 弘
映像技術 沼田繁晴
演出 田中賢ニ・六山浩一
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解説(副音声) 関根信昭
・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★
何通かの手紙の中に、「田上渉」の字を見た千晶は裏庭に行き手紙を読む。
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オレは眠い目をこすりながらこの手紙を書いている、いい知らせだ。
オレはパラマウント社に採用された
ちょうど浩平がやって来て、渉からの手紙を見せる千晶。
「良かったわ」「本当に、本心から?」
「もちろん」
「好きな人がアメリカに渡って骨をうずめる覚悟だと書いてきてるんだよ」
「皮肉な言い方をするんですね。田上君自分の夢が現実になったんですもの
良かったに決まってるじゃない」
「じゃ、もひとつ皮肉な言い方を。君の思いはどうなるんだ?
そんなに深く思ってはいなかったということじゃないか?」
気分を害して席をたつ千晶。
「君は強いよ」と更に話し掛ける浩平。「また皮肉?」
「本心から。お母さんが亡くなって田上君がアメリカに渡っても
笑顔で仕事に打ち込もうとしている。見習わないとね。
ボクをガラクタじゃないと言ってくれたよね。嬉しかった。
何か1つを完成させて自分がガラクタじゃないことを証明しようと
思って・・・・ ガラクタ人間の卒業だ」
夜、布団の中で渉の手紙を思い起こす千晶。
「日本には二度と帰らないつもりで、やれるところまでやってみる。
もう会うことも無いだろうが、
GOING MY WAY で頑張ってくれ」
翌日、もと小森屋の卸問屋をしていた中野の藤原さんが、
だるま食堂を訪問する。
3月31日の配給公団の解散に向けてアドバイスに来たのだ。
中野の藤原さんは、自分達もと卸問屋の5軒は、再開できないかわりに
他の小売店に
「小森屋のお嬢さんが根津の方で食堂をやっているから
時間があったら、いって見てくれ」と紹介していたのだった。
何人も食べに来ていて「さすが弥之助さんの味噌だ」と評判はよく、
何軒かが「小森屋さんの味噌を扱わせてもらえないか」
と言って来ているというのだ。
藤原さんは近々連れてきて会わせるから と言ってくれる。
更に、配給公団が解散になったら、かつての問屋だった人が、
小売店と製造元の奪い合いになり、落ちこぼれになる人もいるから
そこに食い込むといいとアドバイスをくれる。
小森屋味噌蔵
友行が千晶からの電話の内容を弥之助に知らせにくるが、
ちょっと様子が違い はしゃいでいる。
「お義父さん、いい話なんです。聞きたいって言って下さいよー」
夕飯時
「問屋さんがだるま食堂に集まるのは明後日なんですよ」と友行。
弥之助は「友さん、顔つなぎにいってくれ」と頼む。
友行は妙に張り切り
「そうですよね。行ってきます、浩平さんの件もあるんで」と言うが
晶乃は
「まだ、縁談はちょっと・・ね。晶子が亡くなったばかりだし」と釘をさすが
「わかってますよー。なんとなくですよ、なんとなく聞くんです。」と
まだ食事中なのに「えーと、汽車の時間、帰社の時間」と立ち上がる。
そして、戻って来てたくあんを立ったまま齧り、うろうろする。
その様子に顔を見合わせる弥之助と晶乃、清三と英。
「友行さん、このところちょっとはしゃぎすぎなんですよ」
友行は東京に向かう汽車の中でポケットウイスキーを飲んでいる。
しかし、その表情は今度はとても硬く、何かを考え込んでいる。
東京についた友行がまず向かったのは刑務所だった。
面会室に、野中が看守に連れられてやってくる。
まず頭を下げる野中。
「小森友行です」
「野中辰彦です」
(つづく)