創作童話「九雀物語」第9話
一瞬大きな光が周りを包み、年老いた雀の姿がなくなりそこから何か立ち上がりました。
それは、今まで見たことの無い、美しい気品のある輝きをした大き羽根をもった鳥でした。
鷲や鷹よりも大きいいけれど、その眼差しは優しく、小雀たちを見つめていました。
「カイ」や「トキ」 「キキ」そして「ダン」と一緒の6羽の小雀は目の前に起こったことがわからず立ちすくんでいました。
その美しい大きな鳥は、さっきまでいじめられていた年老いた雀が変身したのですから、小雀たちの驚きは、言いようの無いものでした。
その時、その大きな美しい鳥が声を発しました。きれいな声は遠くまで響くような
澄んだ声です。
小雀たちに向って
「おどろいただろう!」
「私は、お前たちが見ていた通り、老いた雀が仮の姿で、これが本当の姿なのだ」
「だが、この姿は誰もが見られるものではなく(こころの眼)でしか見れないのだ」
「人間も、(こころ)の中で、私を見ることが出来て、神様の使いとして「鳳凰」と呼んでいる」
「お前たちは、生まれた雀の世界を嫌がり、大事な親たちの心配を忘れて好きな生き方をしようとしているが、それが本当に良いことなのかな」
目の前におこった不思議な出来事に恐ろしさと同時に、自分たちの行動を知って
いることに驚き、他の小雀が固まってしまっているなかで、
少し賢明さをもった「トキ」が少し落ち着きを取り戻して話します。
トキ「あなたは、本当にさっきの老いた雀なのですか?」
鳳凰が応えます
「そうだ! 自分のことだけを考えているうちは、先程の雀でしか見れない
が、他のことを思いやれる(こころ)になれば、こんな美しい姿を見ることが出来るのだ」
トキ「なぜ、私たちは、今の本当の姿を見ることが出来ているんですか?」
鳳凰が応えます
「心の眼は人間でしか見ることはできない。
お前たち、鳥や獣は、そんな(こころ)を持ってはいないが、少しでも他のことを思いやれることが出来れば、その瞬間が人間と同じような(こころ)をもったことになるんだ」
鳳凰がさらに語ります。
「生まれたからには、必ず終わりがあるのだ。
雀の世界に生まれて、与えられた命を全うすることが大切だよ」
トキが問います
「でも、俺たちはなんで雀なんですか?
初めから(孔雀)のように美しい鳥ではないんですか?」
トキは他の小雀にもの同調を得ようと振り向きます。
そんなやり取りを恐る恐る見ていた「カイ」や「キキ」たちも「トキ」に向ってうなづきます。
静かに優しい眼差しの「鳳凰」は九羽の小雀たちに微笑むように語り掛けます。
「そうか!お前たちは(雀)であることが不足なんだな!」
「では、弱った姿の私を護ろうとしてくれたお返しに、特別の姿と能力をあげよう! どうしてほしい?」
トキがカイたちに問います。
カイ「じゃあ!(孔雀)になりたいよ」
キキ「私も(孔雀)がいいな! みんなどうだい?」
他の小雀たちの、こわばっていた顔が和らいで同調の返事をします。
第9話終了
最新の画像[もっと見る]
- 「いじめ」との闘い 5年前
- 枚方市・交野市にある七夕伝説 10年前
- 枚方市・交野市にある七夕伝説 10年前
- 枚方市・交野市にある七夕伝説 10年前
- 枚方市・交野市にある七夕伝説 10年前
- 枚方市・交野市にある七夕伝説 10年前
- 創作童話 10年前
- 創作童話 10年前
- 創作童話 10年前
- 創作童話 10年前
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます