”soraさんとやら、わしのような老いぼれも撮
ってくれるのかい?”
”勿論です!老若男女を問いません。
なんてったってニャン撮り宇宙一ですから(笑)
”わしだって昔からこんな年寄りだったわけじゃ
ないんだ。今でこそ、こんなヨボヨボだが、これ
でも若い頃は『女泣かせの源さん』って呼ばれて
浮名を流したもんだよ。今じゃ相手にしてくれる
のは学校の行き帰りに話をしてくれる学生さんく
らいのもんじゃよ。”
”ちょいとごめんよ、年をとると肌がカサカサ
して痒くてたまらんのじゃ。”
”さて、どこまで話したかのう?おう、そうじゃ、
わしら外猫が生きていくのは、そりゃぁ大変なん
じゃよ。
冬の寒さも老体には応えるが、近頃じゃぁ夏の暑
さも命取りなもんでな。
幸いわしらは食べることには事欠かないんじゃ。”
”ほれ、そこの喫茶店のマスターが毎日腹いっぱい
飯を用意してくれるもんでなぁ。
でもな、そんな優しい人間ばかりじゃないんじゃ。
これから話すことは嘘じゃないぞ、実際にわしが
見たことなんじゃ。
信じられないかもしれないが事実なんじゃ。
この辺りには猫嫌いの人間がおってな、まだヨチ
ヨチ歩きの可愛い子猫に
『あたしゃ猫が大嫌いなんだ!』と言って殺虫剤
を子猫に吹きかけたんじゃよ。
可愛そうになぁ、その子猫は目が見えなくなって
しまったんじゃ。
その鬼のような婆さんは、そのことをマスターに
話したと言うんじゃよ。
『あたしゃ猫が大嫌いだから殺虫剤をかけてやっ
たよ』と。
マスターもひどく心を痛めていたっけなぁ。
それからな、子猫の頭を踏みつけて殺した人間も
いたんじゃ。
子猫の頭には靴の跡が付いていたんじゃよ
恐ろしいのう。”
そう話してくれた源さんの目にはうっすらと涙が
浮かんでいました。
私は、この話を聞きながら、そして今も涙が止ま
りません。
何か勘違いしている!
命あるもの皆平等であるべきなのに。
人間の身勝手で、尊い命を奪っていい筈がありません。
無力な私には何もできませんが、せめてブログで紹介
させていただきたいと思い掲載しました。