さるぶつGOO

宗派や宗教団体の壁をガン無視して、自由な「信仰のある生活」を楽しみたいと思います。

【「空」ってなんだ?】

2020-07-28 21:54:24 | 仏教講座
「般若心経」ですが、皆様、ご存じですね?
「般若心経」と言えば、「空」のお経です。
有名なフレーズがありますね。
「色即是空 空即是色」
「般若心経」は短いお経ですが、何なら、この二句で事足りるのではないかとも思います。


大乗仏教を象徴するような言葉ですね。
「空」
「そら」でも「から」でもありません。
「くう」ですね。
この「空」を、とある超有名な大先生様が英訳する際に
「emptiness(空っぽ、空虚)」
と、誤訳されました。
それが国内、海外問わず、広く伝わってしまったがために、以降、「空」と「無」が混同されてしまったのではないかと、私は睨んでいるのですが、おかしなことになっています。


「空とは無の境地なんだ」
みたいに語る人がいるわけです。
「心を空っぽにするんだ。それこそが空だ」
だとかね。
違いますからね。


「空」というのは、存在を表わす第三の概念です。
「有」は、存在する、ですね?
「無」は、存在しない、ですね?
「有無」は、存在するかしないか?ということですね?
準備は良いですか?
行きますよ。


「有」「空」「無」
「ある」「くう」「ない」
並び順としては、こうなると思います。
つまり、
「非有(あるのではない)」
「非無(ないのではない)」
そんな存在の在り様が「空」です。


わけわかりませんよね?
これ、前提があります。


「有」というのは、ずーっと「有る」ということです。
過去現在未来を通して、存在し続ける。
それが「有」「有る」ということだと解釈します。
「絶対有」と言っても良いかと思います。


「無」というのは、ずーっと「無い」ということです。
過去現在未来を通して、存在したことが無い。
それが「無」「無い」ということだと解釈します。
「絶対無」と言っても良いかと思います。


そうすると、「有」と「無」の真ん中は、
「有ったり無かったりする」
ってことになりそうな気がしませんか?


そうなんですね。
ここで、登場するのが、「縁起」ですね。
仏教だから仕方ありません。
「縁起」というシステム上、「ずーっと有り続ける(不生不滅である)もの」は存在しません。
すべての事象が、縁起によって生じ、また滅します。


「無」は?
「ずーっと無いもの」って説明できますか?
難しいですね。
「過去現在未来を通して無いもの」
何か思いつきますか?
思いつくわけないですよね、無いんだもの。
過去に「有った」ものが無くなるから、「無い」とわかるのであって、はじめから無いものは無くならないので、そもそもわからない・・・・・
何を言ってるんだか、ですね、私。


要するに、私たちは「絶対無」を認識できないし、認識できない「無」について、私たちが考えることもない。
で、わかっていただけますか?
自信ないなあ、これ。


ま、とにかく、そんなわけで、「有」であるものも、「無」であるものも存在しないわけです。
残るは「空」です。
私、第三のと申しましたが、実は、「空」しかないんですよ。
すべての事象は「有」るのでもなく、「無」いのでもなく、「空」というあり方で存在しているというのが、「空」の教えなのです。
「一切皆空」です。
だから、すべての事象は「生滅」します。
縁起によって「生じ」やがて「滅し」ます。
それを、それを「縁起仮生」と言います。
存在すると言っても「有」るのではなく、一時、仮に存在している、と考えるわけです。
仮に存在していると認識しているにすぎない。
と、言っても良いかもしれません。
言えば言うほど、難解になりますね。


つまり、「よどみに浮かぶ泡沫(うたかた)は」「諸行無常の響きあり」とか、そういうことですよ。
結局、「空」=「縁起」です。
それもそのはず、そもそも、龍樹という方が、お釈迦様の「縁起説」を「rehabilitation(復興)」したのが「空」という理論なのです。


その「空」の理論を人々に伝えるために、簡潔にまとめられたのが「般若心経」なのですよ。
阿弥陀様の脇侍(アシスタント)の観世音菩薩様が、「空」を教えて下さるんだよね?
え?逆?観音様が教えてもらうの?どっち?
すいませんねえ、どっちでも良いと思ってる上に、いまだに覚えていないんです「般若心経」。


「色即是空 空即是色」
「形あるものは、すべて縁起により仮に存在させられたものである。また、縁起は、すべての形あるものを仮に存在させる。」
翻訳すると、こんなところでしょうか?
仏教らしさを演出するために、あえて「縁起」を残してみました。


しかし、本当に「般若心経」で夜道の安全が確保できるんでしょうか?
「空」だと思えば、お化けも怖くない、ってことかなあ?

(見真塾サルブツ通信Vol.0041より)


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