内分泌代謝内科 備忘録

禿瘡 (kerion)

禿瘡 (kerion)
New Engl J Med 2016; 375: 980

13歳の女児が、3週間前から頭皮の腫脹が徐々に拡大し、痛みを伴うことに気づいた。

細菌性毛包炎と蜂巣炎が疑われ、経験的な抗生物質の経口投与を数回受けたが、改善はみられなかった。

診察では、後頭部に紅斑性で軽度の圧痛を伴うブツブツした腫脹があった(パネルA)。病変には膿疱が散在し、漿液性の分泌物と脱毛を伴っていた。

患部からサンプルを採取し、10%水酸化カリウム製剤で真菌の菌糸を検出し、禿瘡 (kerion) と診断した。

禿瘡は、通常小児にみられる頭皮の炎症性皮膚糸状菌性真菌感染症である。化膿性で圧痛を伴う腫脹が特徴で、しばしば局所リンパ節腫脹を伴い、細菌性毛包炎と間違われることもある。禿瘡は、動物好性皮膚糸状菌である白癬菌(Trichophyton verrucosum)および白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)によって起こることが多い。

グリセオフルビンの内服による治療がしばしば行われるが、他の抗真菌剤も有効である。診断と治療が遅れると、瘢痕性脱毛症になることがある。この患者にはグリセオフルビンが6週間投与され、病変の退縮とともに著明な改善がみられた(パネルB)。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「感染症」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事