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いつも利用している図書館の新書の棚を眺めていて目につきました。
タイトルに「定年後」とありますが、私も60代半ばに至り、まさに今年中には退職する予定です。
本書は、ノンフィクション作家の加藤仁さんが3,000人以上の定年退職者へのインタビューをもとに定年後の暮らし方の要諦を紹介したものです。
ちょっと以前の本(2007年出版)なので、扱われているのは、時代的には私よりひと世代上の様子になりますが、それでも実践的な多くの具体例が “いろいろな意味” で大いに参考になりました。
ここで “いろいろな意味” でというのは、そのまま私のアクションとして実践できるものがなかったということでもあります。
「定年退職」を目の前に、その後の生活スタイルについては大いに気になりつつも、何も具体的には決め切れていない私にとって、本書で紹介されている「退職者のみなさんの行動的な姿」は大いに刺激を受けるのですが、どうもどこかしっくりと腹に落ちないのです。“無理やり感(〇〇しなくてはならない)” がどうにも拭えないんですね。
退職したら、何か “やりがいのあること” をやらなくてはだめなんですかねぇ・・・。加藤さんの啓発チックなメッセージを受けると、かえって、“まあ、ぼちぼち考えてみようか” といったノリになってしまいます。
あと、本書のところどころに漂う “ジェンダー観” も馴染めませんでした。「昭和のお父さん」は、退職してもやはり “昭和のお父さん” を続けているようです。
(p119より引用) 妻は地域社会のあれやこれやだけでなく、夫の性格や資質、潜在的な願望という情報も把握している。さらにいえば、妻の情報には、企業社会で利潤や効率を追求してきた夫に、それまでの価値観を見直させる発想が込められている。
と、こういった男女の役割の相違(性別分業論?)を前提としたような「妻の評価」も、何とも “前近代的” ですね。
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