自分自身も注意しなければならないこととして。
因果関係を間違えている人は失敗する
原因と結果に対して、正しく理解できていない人は、失敗します。
蛇口をひねったから水が出る
という因果関係が正しく結べなくて、例えば、
(何らかの概念として)神様が水を出している
となると、必要な時に水を出せないし、水道使用料計算もできないことになるし、水道のコマが劣化して水漏れしていたとしても、それを直すことはできない。
ものを操作する際には、「何をしたら、どうなる」という、正しい因果関係がしっかり理解されていないと、当然ながら事故が発生する。
車の運転でも、クレーンやフォークリフトの操作でも、ガソリンスタンドでの給油の際も、「何をしたら、どうなる」を間違えれば事故が起こる。
また、実際に事故が起きた際に、その原因を突き止めることはできない。
人が死亡する事故が起きたとして、
「すべて宇宙人がやったこと」
とすることはできるが、この先事故を防ぐための指針にはならない。また事故が起きる。
さて、先日とある人と人工知能(AI)の話をしていたのですが、話が全く噛み合わない。
私は、数学理論を基にAIを話しているのだけど、相手は数学を全く理解しないでAIを語ろうとする。
AIはコンピュータ上の計算シミュレーションであり、魔法でも奇跡でもなんでもない。
すべてのプログラムは単純な足し算引き算を積み重ねることによって成立している。
スプラトゥーンのネバネバしたインクの動きも、すべて計算で成り立っている。
私はその計算の仕方について話しているのだけれど、相手は数字以外ですべてを語ろうとする。
これは話しにならない。
因果関係が破綻しているから。
当然、そのような相手と何を行っても失敗することは目に見えている。
AIにしても、DX(デジタルトランスフォーメーション)にしても、原点は地道な計算技術や分析や情報整理になる。
しかし、いわゆる一般の経営者は全くそれを知らない。
事業会計の賃借対照表を見ることはできても、それを導き出すための、膨大な日々の簿記仕分け作業を全く知らないようなもので。
少しでも知っていれば、なぜ借金が増えるか、どうすれば借金が減るか、無駄な支出を抑えて利益を上げられるかを考えることができるが、賃借貸借表の見方も知らず議論をしても結論は出ないし、判断を誤る。
逆に、ISO9001(品質マネジメント)の認証は注意が必要で、本来ISO規格やJIS規格は、「守れば効率がいいもの」なのであって、法律等によって定められる、「守らなくてはならないもの」ではない。
その辺りを間違えて認証を得ることが目的となっている会社があるが、最大の目的は、「品質を上げること」である。
品質を上げていないにもかかわらず、「ISO認証を得た」と自慢しても意味がない。
これは同様に、あらゆる資格免許にも言えることで、活用しない限り、資格を取っても勉強をしても、無駄になる。
学校での勉強も同じで、なんのために勉強をするのか?という目的がないと、何も身につかない。
つまり、複雑なプロジェクトを成功に導くためには、詳細な理論や技術をしっかりと理解したうえで分析を行い、マクロな視点での目的を明確にし、正しい因果関係を結んでいく必要がある。
それができなければ、当然ながら失敗する。
簡単なようで、これが案外にできない。
複雑なプロジェクトは、一つの物事にいくつもの因果関係が結びついており、それぞれの因果関係の強さをしっかりと把握する必要があるからでもある。
したがって、大企業のプロジェクトも、国政に関わる判断も間違えていることが多い。
組織の失敗は災害と言う場合があるが、大抵の場合、因果関係の考慮を間違えた、「人的災害」である。
因果関係をしっかり考えられる人は、多くないんです。
自分も含めて。