これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

カーネーション祭り

2009年05月10日 20時35分20秒 | エッセイ
 まだ独身の頃、母の日には姉や妹と一緒に、母へのプレゼントを贈ったものだ。
 ブラウス、ニット、カットソーなど衣料品が多かったが、母はなかなか袖を通さない。
「もったいなくて着られないよ~」
 貧乏性の母は、大事に大事に、タンスにしまっておくのだった……。
 結婚してからは、母と義母に毎年カーネーションを贈る。加入している生協では、母の日のフラワーギフトを取り扱っており、それを利用している。母とは一緒に住んでいないが、義母とは二世帯住宅の1階と2階で毎日顔を合わすのに、カーネーションは宅配便で届けられる。
 
 ちょっと、事務的かしら?

 直接手渡しするほうがいいとは思うが、花屋で長い時間待たされることを考えると、こちらのほうが効率的なのだ。手抜きの嫁ということで、許してもらおう。
 ちなみに、今年の花はこちらである。

 数年前から、プリザーブドフラワーを選ぶようにしており、今回はスイーツ風のアレンジを頼んだ。ちょっと場所を取るけれども、プリザーブドフラワーは水をやらなくていい上、長持ちするから便利だ。
「砂希さん、いつもありがとう」
 川村学園卒の、元祖お嬢様の義母から品よくお礼を言われると、こちらもすっかり気分がよくなる。
「いえいえ、こちらこそ、いつもお世話になりありがとうございます」
「去年いただいたお花も、まだ元気なのよ。ほら見て」
 
 おおっ、さすがはプリザーブドフラワー。何しろ、保存状態がよければ、10数年間楽しめるという話だから、去年の花が変わらず美しいのは当然だろう。
「2年前と3年前のも、そこに飾ってあるのよ」

 ああっ! そんなに大事にしてもらえるなんて、感動~!
 
 ……ということは、毎年違ったアレンジを選ばなければいけないというわけか。
 3年前と去年の花は、やや似たデザインだった。来年は注意して注文しよう。

 ところで、私へのカーネーションはあるのだろうか??
 ホワイトデーのギフトを忘れるくらい、恐ろしく気の利かない夫のことだから、あまり期待しないほうがいい。と、思っていたのだが……。
「ママ、母の日、ありがとう」
 夕方、買い物から帰ると、夫がいそいそと紙袋を持ってあらわれた。
「わあ、ありがとう♪」
 早速中身を出すと、あらあら可愛い、ピンクのカーネーションである。赤い実と白いカスミソウ、緑のツタがいいあんばいに散らばっていて、なんとも絵になる。


「2週間はもつってさ」
 生花は儚いが、存在感や生命力が感じられてよい。

 しかし、そのやり取りを見ていた娘のミキが、とんでもないことを言い始めた。
「え? 母の日って今日だっけ?」
 再生中のDVDを一時停止にしたような、奇妙な静寂が訪れた。
「……やば~、全然知らなかった……」
 ミキはニンテンドーDSの操作を中断し、顔を青白くしてブツブツひとり言を言った。
 中一の娘は、毎年、私の誕生日や母の日にメッセージを書いて渡してくれる。だんだん欲が出てきた私は、明るく励ましの言葉をかけた。
「大丈夫。今から書けば、夜には間に合うから」
「書くよ! 書くけどさ、それは催促するものじゃないでしょっ!!」

 ピンクのカーネーションの花言葉は、何種類も紹介されているが、「熱愛する」「感謝」「美しいしぐさ」「気品」といったところらしい。
 カスミソウの花言葉は、「愛らしい」「清い心」「切なる願い」「無邪気」……。

 早くメッセージ、ちょうだいよ~!!



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コメント (36)
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