教員は、若い生徒と接しているおかげで、新語に触れる機会が多い。私も「自撮り」「ガラケー」などをおぼえた。
一方で、おぼえた新語をいつまでも使う傾向がある。ちょっと前の話だが、歓送迎会の幹事を務めた年配の男性が、マイクを握って自信たっぷりに叫んだ。
「次は、離任した先生方のご挨拶です。やってちょんまげ、見てちょんまげ! それでは、お願いしまーす!」
彼は今でも、この言葉を使っているのだろうか。新語で定着するものは「イケメン」などの少数に過ぎず、大多数ははかなく消えゆく運命だというのに。誰か、今はすっかり死語になっていると教えてあげてほしい。
先日も、思わず椅子からズリ落ちそうなフレーズを耳にした。
「あの人から見たら、それはきっと、アウトオブ眼中でしょうね」
彼女の話し相手が、たまたまハッキリものを言う人だったため、「古い古い」と注意を受けていた。言われた当人は傷ついた顔をしていたけれど、本人のためになるに違いない。
夫はもっとひどかった。車で出かけたとき、信号待ちでトラックの後ろに停まったことがある。フロントガラスの向こうに、トラックの荷台に書かれた緑の文字が見えた。
「何だ、前のトラック。センコーって書いてあるぞ。ケンカ売ってんのか」
ガクッ。
今どき「先公」などと言われることはない。
この一件から興味を持ち、センコー株式会社について調べてみたら、資本金205億円、東証一部、大証一部上場の大企業であった。設立時の「扇興」という名前は、決して死語にならず、会社の歴史に刻まれているようだ。
だが、先生を侮辱する「先公」という言葉には、さらに長い伝統があった。なんと、明治時代の書物には、すでにこの言葉が登場するというのだ。
先公、恐るべし!
関連語として「エテ公」が挙げられていたことに、多少の不快感をおぼえないでもなかったが……。
一時は定着していたこの言葉も、私の学生時代にはすでに消えつつあった。先生を侮辱するときは、苗字を呼び捨てにすればすむ。やはり、新語は消えゆく運命にあるのか。
「イケメン」には、しばらく頑張ってもらいたい。
↑
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
一方で、おぼえた新語をいつまでも使う傾向がある。ちょっと前の話だが、歓送迎会の幹事を務めた年配の男性が、マイクを握って自信たっぷりに叫んだ。
「次は、離任した先生方のご挨拶です。やってちょんまげ、見てちょんまげ! それでは、お願いしまーす!」
彼は今でも、この言葉を使っているのだろうか。新語で定着するものは「イケメン」などの少数に過ぎず、大多数ははかなく消えゆく運命だというのに。誰か、今はすっかり死語になっていると教えてあげてほしい。
先日も、思わず椅子からズリ落ちそうなフレーズを耳にした。
「あの人から見たら、それはきっと、アウトオブ眼中でしょうね」
彼女の話し相手が、たまたまハッキリものを言う人だったため、「古い古い」と注意を受けていた。言われた当人は傷ついた顔をしていたけれど、本人のためになるに違いない。
夫はもっとひどかった。車で出かけたとき、信号待ちでトラックの後ろに停まったことがある。フロントガラスの向こうに、トラックの荷台に書かれた緑の文字が見えた。
「何だ、前のトラック。センコーって書いてあるぞ。ケンカ売ってんのか」
ガクッ。
今どき「先公」などと言われることはない。
この一件から興味を持ち、センコー株式会社について調べてみたら、資本金205億円、東証一部、大証一部上場の大企業であった。設立時の「扇興」という名前は、決して死語にならず、会社の歴史に刻まれているようだ。
だが、先生を侮辱する「先公」という言葉には、さらに長い伝統があった。なんと、明治時代の書物には、すでにこの言葉が登場するというのだ。
先公、恐るべし!
関連語として「エテ公」が挙げられていたことに、多少の不快感をおぼえないでもなかったが……。
一時は定着していたこの言葉も、私の学生時代にはすでに消えつつあった。先生を侮辱するときは、苗字を呼び捨てにすればすむ。やはり、新語は消えゆく運命にあるのか。
「イケメン」には、しばらく頑張ってもらいたい。
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