フランスの2大世界遺産といえば、モン・サン・ミッシェルとヴェルサイユ宮殿である。(モン・サン・ミッシェルの記事はこちらから)
パリから車で30分、豪華絢爛なヴェルサイユ宮殿に向かった。
「このトンネルで、ダイアナさんは事故死されました。ちょうど、13本目の柱に激突したんです」
ガイドさんがマイクを手に説明する。事故の痕跡などどこにもなかったが、大破した車の映像を見たことはおぼえている。何日か前にロンドン観光で、ガイドさんから「ウィリアム王子は、ダイアナさんにロイヤルベイビーのジョージを見せたかったと語っていました」と聞いたばかりだ。死後もなお、ダイアナさんの人気は衰えない。
駐車場は、すでにたくさんの観光バスやマイカーでいっぱいになっていた。団体は予約ができるので、まず中に入り、庭園から見てくださいと言われた。
庭園は広い。ゴルフ場10個分の面積があるとか何とか……。
「じゃあ、予約団体の入口に向かいます。一般の人はこの暑い中、ずっと待っていなければなりませんから、大変ですよ」
19年前の冬に来たときは、こんな行列はなかった。風が強く、傘が壊れそうになった記憶はある。ゆっくり観るなら、夏は避けたほうがいいのかもしれない。
「いいですか、みなさん。くれぐれもスリに気をつけてください。グループで固まって、他の人を中に入れないようにしましょう」
ガイドさんのひと言に、グループの誰もが緊張する。華麗な宮殿の中で、団子状態になって移動するのもいい思い出だ。
「ヘラクレスの間です」
人がすごくて、壁はほとんど見えない。必然的に、天井ばかりを撮影することになる。
「ヴィーナスの間です。天井に愛と美の女神が描かれています」
ルイ14世の彫刻もあった。
写真を撮ったらバッグを見て、異常がないかを確認して進む。
「ディアーヌの間です」
ディアーヌとは、月と狩りの女神というから、一般的には「ダイアナ」か。ここにも、ダイアナさんが登場した。
天井画の色彩が素晴らしい。
「マルスの間です」
「メルクリウスの間です」
メルクリウスとは、水星と商業の神だから、「マーキュリー」のほうがわかりやすいだろう。
「アポロンの間です」
アポロンこそ、ルイ14世が自己を投影した太陽と芸術の神である。
ここには、ルイ16世の肖像画と
ルイ14世の肖像画が向かい合わせに配置されている。
「鏡の回廊です。鏡は全部で357枚といわれています」
華やか~☆
ちなみに、オリジナルの鏡には銀を使っているため、曇って見えるそうだ。クリアな鏡はあとから入れ替えたもので、時代の重みがない。
「牛眼の間です。ここは来客の目に触れないので、天井画がありません。ルイ14世は実務家だったため、余計なところにはお金をかけなかったんです」
なるほど!
「王の寝室に行きましょう」
「王は、寝ている間に緊急事態が起きても、すぐ対応できるように、隣に会議室を作りました」
閣議の間。
ちゃんとテーブルもある。
「王妃の寝室です」
寝室には、マリー・アントワネットの母親マリア・テレジアと
兄のヨーゼフの肖像画がある。
それにしても、華やかなベッド……。
オーストリアから嫁いだとき、市民から贈られた宝石箱を大事にしていたそうだ。
「貴族の間です。ここは、王妃の謁見の間として利用されました」
「大膳式の間です。王と王妃が公式の食事をしました」
使った食器が公開されている。
「衛兵の間です。マリー・アントワネットと子どもたちの肖像画があります」
「戴冠の間です。ここには『ナポレオン1世の戴冠式』が飾られています」
絵の作者は、ジャック=ルイ・ダヴィットだが、この絵にはささやかな仕掛けがあるのだそうだ。
「ルーブルにも同じ絵があり、どちらも本人が描いています。ナポレオンの注文で、実際には出席しなかった母親が中央にいます。そして絵を描いた本人も、上段に描かれているんですよ」
さらに、ルーブルと違っているのは、左から4人目の女性が、ピンクの衣装を身に着けているところだ。ルーブルの絵は、白になっている。
裏話が聞けるのは面白い。宮殿内も見事な装飾であった。
だが、この混雑には閉口する。ようやく見学が終わり、バスに戻って安心した。
マリー・アントワネットが、ルイ15世の寵姫デュ・バリー夫人にイヤイヤかけた言葉、「本日のベルサイユは大層な人出ですこと」という名言があるそうだ。
この先も、ずっと使えそうな気がするのだが。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
パリから車で30分、豪華絢爛なヴェルサイユ宮殿に向かった。
「このトンネルで、ダイアナさんは事故死されました。ちょうど、13本目の柱に激突したんです」
ガイドさんがマイクを手に説明する。事故の痕跡などどこにもなかったが、大破した車の映像を見たことはおぼえている。何日か前にロンドン観光で、ガイドさんから「ウィリアム王子は、ダイアナさんにロイヤルベイビーのジョージを見せたかったと語っていました」と聞いたばかりだ。死後もなお、ダイアナさんの人気は衰えない。
駐車場は、すでにたくさんの観光バスやマイカーでいっぱいになっていた。団体は予約ができるので、まず中に入り、庭園から見てくださいと言われた。
庭園は広い。ゴルフ場10個分の面積があるとか何とか……。
「じゃあ、予約団体の入口に向かいます。一般の人はこの暑い中、ずっと待っていなければなりませんから、大変ですよ」
19年前の冬に来たときは、こんな行列はなかった。風が強く、傘が壊れそうになった記憶はある。ゆっくり観るなら、夏は避けたほうがいいのかもしれない。
「いいですか、みなさん。くれぐれもスリに気をつけてください。グループで固まって、他の人を中に入れないようにしましょう」
ガイドさんのひと言に、グループの誰もが緊張する。華麗な宮殿の中で、団子状態になって移動するのもいい思い出だ。
「ヘラクレスの間です」
人がすごくて、壁はほとんど見えない。必然的に、天井ばかりを撮影することになる。
「ヴィーナスの間です。天井に愛と美の女神が描かれています」
ルイ14世の彫刻もあった。
写真を撮ったらバッグを見て、異常がないかを確認して進む。
「ディアーヌの間です」
ディアーヌとは、月と狩りの女神というから、一般的には「ダイアナ」か。ここにも、ダイアナさんが登場した。
天井画の色彩が素晴らしい。
「マルスの間です」
「メルクリウスの間です」
メルクリウスとは、水星と商業の神だから、「マーキュリー」のほうがわかりやすいだろう。
「アポロンの間です」
アポロンこそ、ルイ14世が自己を投影した太陽と芸術の神である。
ここには、ルイ16世の肖像画と
ルイ14世の肖像画が向かい合わせに配置されている。
「鏡の回廊です。鏡は全部で357枚といわれています」
華やか~☆
ちなみに、オリジナルの鏡には銀を使っているため、曇って見えるそうだ。クリアな鏡はあとから入れ替えたもので、時代の重みがない。
「牛眼の間です。ここは来客の目に触れないので、天井画がありません。ルイ14世は実務家だったため、余計なところにはお金をかけなかったんです」
なるほど!
「王の寝室に行きましょう」
「王は、寝ている間に緊急事態が起きても、すぐ対応できるように、隣に会議室を作りました」
閣議の間。
ちゃんとテーブルもある。
「王妃の寝室です」
寝室には、マリー・アントワネットの母親マリア・テレジアと
兄のヨーゼフの肖像画がある。
それにしても、華やかなベッド……。
オーストリアから嫁いだとき、市民から贈られた宝石箱を大事にしていたそうだ。
「貴族の間です。ここは、王妃の謁見の間として利用されました」
「大膳式の間です。王と王妃が公式の食事をしました」
使った食器が公開されている。
「衛兵の間です。マリー・アントワネットと子どもたちの肖像画があります」
「戴冠の間です。ここには『ナポレオン1世の戴冠式』が飾られています」
絵の作者は、ジャック=ルイ・ダヴィットだが、この絵にはささやかな仕掛けがあるのだそうだ。
「ルーブルにも同じ絵があり、どちらも本人が描いています。ナポレオンの注文で、実際には出席しなかった母親が中央にいます。そして絵を描いた本人も、上段に描かれているんですよ」
さらに、ルーブルと違っているのは、左から4人目の女性が、ピンクの衣装を身に着けているところだ。ルーブルの絵は、白になっている。
裏話が聞けるのは面白い。宮殿内も見事な装飾であった。
だが、この混雑には閉口する。ようやく見学が終わり、バスに戻って安心した。
マリー・アントワネットが、ルイ15世の寵姫デュ・バリー夫人にイヤイヤかけた言葉、「本日のベルサイユは大層な人出ですこと」という名言があるそうだ。
この先も、ずっと使えそうな気がするのだが。
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
話は違うけど、個人的には、洋室にいる時のほうがはるかに落ち着くのは何故だろう。過去に、1度だけ完全洋室のアパートに住んだ事があるけど、その頃が一番落ち着いた。今も、家の中では洋室がやはり落ち着く。
いやいや、日本の城は比較にならないよ。
フランスという国の財力と技術、芸術性に舌を巻くばかりです。
なにしろ、スケールが大きい。
洋室が落ち着くのは、前世が西洋人だったからかも?
私もどちらかといえば洋室のほうが好み。
でも、裸足で歩くのも好きだから、和洋室が一番かも。
しかも絵の周囲がキンキラキン。
華やぐのかなぁ。盛り上がるのかなぁ。
私の貧相な精神は、その盛り上がりに耐えられないかも。
たいそうな人出も含め、
バスにもどってホッとする砂希さんに共感です。
それにしても美しい絵ですね。
ルーベンスの絵ではないけれど、この絵を見ていたら、
パトラッシュもネロもきっと天使に連れて行かれたことでしょう。
登場人物も多ければ部屋数も多いです~
それにもまして絵の数が半端じゃないですね。
マリー・アントワネットも絵を見すぎてずいぶん首がくたびれていたのでしょうね(合掌)
うちは地味なので、キンキラキンは嫌いじゃないです。
多分、ここに住みついても楽しめます。
って、ネズミじゃないのに(笑)
来客のない、天井画ゼロの部屋なら、Hikariさんも住めますね。
だまし絵も有名です。
ここでは割愛しましたが、ニセ扉とか、ニセ彫刻の絵が見事でした。
ここを見てしまうと、他のキンキラ御殿が霞みます。
徹底ぶりが痛快ですね~!
お疲れさまでした(笑)
写真の整理をするのが大変でしたよ、トホホ。
見るほうも難儀したとはね~。
これを見て、「私も行きたい」と思ってくれればいいなぁ。
あの時代の方は、頭にあれこれ載せていましたよね。
ただでさえ首が疲れているのに、絵を見上げることで余計に疲労感が…。
なんてことはないか(笑)
今見ても感動する芸術性と華美さ。
それらはみんな、国民への過酷な税金からだったのですね。
そんなことばかり考えていたら、楽しみも半減しそう。
まずは、肯定から?
悪いのはルイ15世だったみたいですよ。
太陽王14世の息子にしては凡庸で、国庫をカラにしてしまったようです。
16世は、その尻拭いをしたそうで。
先代のツケが大きすぎ、一生懸命世の中を変えようとしても、荷が重かったようです。
そしてギロチン。
悲劇の国王ですね。
何はともあれ、美しすぎました…。