歯を失った際にかぶせる物には種類があります。
金属でのかぶせ物と、陶材でできたかぶせ物の違いを
説明してみましょう。
まず、保険治療で行われる金属のかぶせ物(クラウンと言います)です
が、これは12%金銀パラジウムというものを使っています。なぜ、この金
属なのか?それは国でこの金属を使いなさいと定められているからです。
長所は保険が適用でき、 比較的安価なこと、金属なので磨り減りにくいこと
短所は金属のため、見た目に違和感があること、審美的にもいいとは言えませ
ん。口の中で金属成分が溶け出すので、口腔内で腐蝕されやすいです。
金属アレルギーの心配もあります。
メタルボンドというのは金属の表面にポーセレン=陶材を焼き付けたもの
を言います。審美性、耐磨耗性、非変色性に優れています。
逆に短所は陶材ですので、衝撃に弱いので割れることがあります(とはいっ
ても、そんな簡単に壊れませんが)。ですので、かみ合わせに注意する必要が
あります。そして削る量が多い点があげられます。
オールセラミッククラウンは、メタルボンドと違って金属を使わず、
セラミック(陶材)のみで冠をつくるものです。すべて金属を使わずに作成
するので金属アレルギーの方にも有効です。
特徴として、天然歯に似た透明感、色調で口の中で化学的に安定します。
そして、変色することはありませんし、吸水性もありません。
審美性、耐摩耗性、耐食性、非変色性、生体親和性に優れています。
ただ、こちらも衝撃に弱いのでかみ合わせに注意する必要があります。
そして歯質の削る量が多いこと、が短所でしょうか。
削る量が多いというのは、ある程度の厚みを持たせないといけないので、
削る量が多くなってしまうんです。ですから、神経がある歯だと後々しみる
こともあるかもしれません。神経がない歯であればしみることは心配しなく
てもいいですが、神経をとった歯はまた別の心配があります(あとでお話し
します)。
この中でどれがいいのか?という問題が出るとは思います。
金属を使わないオールセラミックでは、かみ合わせによっては割れることも
考えられますし、でも生体親和性(身体にとってなじみやすい)を考えたら保険
の金属のものよりセラミックが良いと思います。
歯とかぶせる物の境目の適合ならば、金属の方が適合がよいかもしれません。
(セラミックが悪いわけではありません)
しかし、それもミクロレベル(ミリ単位よりももっと細かい単位)の話し。
優れている点をあげればセラミックの方が多いのですけどね。
長所と短所を十分に説明し、理解していただいて、その時のお口の中の状態
と相談して選ぶのがいいのではないでしょうか。
山形県 米沢市 笹生歯科医院 副院長のKazuyoshiでした。