北海道いじめ凍死事件 ④ あなたは私になにをしてくれたの?
北海道教育委員会はいじめと認知し、謝罪と今後の対応について、
双方の保護者の共通理解を図るなどの必要があると、市教委を指導するとした。
だが、市教委も学校もいじめそのものを否定的に見て、解決への行動を起こさなかった。
こうした行為の裏には、不祥事を認めたくない、わが身かわいさの考え方は、
隠蔽行為へと進んで行ってしまう。
なんどもいうようだが、そこに存在するのは教育理念のない自己保身と、
学校運営のことなかれ主義である。具体的な例をあげよう。
爽彩さんがなくなったとき、転校先のX中学校では、
体育館に全校生徒を集め、「命の大切さを訴える会」が開き、校長は爽彩さんが痛ましい最期を遂げ
たことを報告し、命の大切さを説いている。爽彩さんがウッペツ川に飛び込んだ事件以来、
爽彩さんが精神的に大きなダメージを受け、転校した学校だ。爽彩さんは事件後、家に引きこもり学校
にも行けない状態が続き、長期入院を余儀なくされた。
葬儀の日には、X中学校の校長や担任、そして小学校の同級生、
X中学校のクラスメートたちが参列しました。
その一方で、爽彩さんが2019年4月の入学時から、9月まで在籍したY中学校の関係者は誰一人参加して
いない、と報道は伝える。(ただし、Y中学校の関係者は葬儀への参列を希望したが、遺族側がこれを拒否
したかどうかはわからない)
Y中学校の不誠実な対応は次のような記事にも表れている。
爽彩さんの長期入院などがあり、母親は看病疲れもあり、学校側との話し合いに、
弁護士を代理人とすることを申し出ると、学校の強い反対にあう。
「弁護士が一緒では話すことはができない」
と態度を硬化させる。母親は仕方なく、一人で話し合いの場に臨むことになった。
「(性的内容の)画像の拡散は、校内で起きたことではないので、学校としては責任を負えない」
「加害生徒にも未来がある」(親族の話)
あろうことか教頭の発言である。この論法でいえば、爽彩さんが公園で集団いじめにあったことも、
川に飛び込まざるを得なくなったことも、すべてY中学校の責任ではなくなってしまう。
我が子のために何んとか解決策を見もい出そうとする母の藁をもつかみたい気持ちを、
足蹴にするような発言であり、自己保身の何ものでもない考えに、憤りを感じる。
確かに、加害生徒の中にはY中学校以外の生徒も存在したが、
かといって自分の学校に在籍する生徒が屈辱的ないじめに遭い大変な精神的打撃を受けているのに、
「責任を負えない」と、信じられない発言だ。
2021年4月爽彩さんの当時の担任と報道記者とのインタビューがある。
爽彩さんの母親からいじめの相談があったと思うのですが、適切に対応されましたか?
「学校でのことは個人情報なのでお話しすることができません」
なぜ、謝罪の会に先生は立ち会わなかったのですか?
「学校でのことは個人情報なのでお話しすることができません」
爽彩さんにお悔やみの言葉はありますか?
「すみませんが、私からお話しすることはできません」
あさましい、人間性や愛情のひとかけらもないような、どこか他人事のような対応に
こんな担任に救いを求めた生徒の悲痛な叫びが聞こえてくる。
「あなたは私に何をしてくれたの」と。
(つづく)
(ニュースの声№20) (2022.10.17記)
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