雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

公安が来た ② 拳銃と猟銃

2023-03-14 06:30:00 | つれづれ日記

公安が来た ② 拳銃と猟銃

        これまでの話。
    意固地になっている私に、年上の刑事が言った。
    「これから先は、捜査ではなく、茶飲み話ということで話を進めましょう」
    「お互いに聞かなかったこと、言わなかったことにしていただいても結構です」
    黙っている私を気にとめることもなく、
    「〇〇の猟銃強奪事件は知っていますか」と、年上の刑事。
    能面のように感情の表現を殺した顔から、
    緊張を解きほぐしたような穏やかな顔に戻り、
    冷えたお茶を音を立ててすすりながら、つぶやくように言った。

 拳銃と猟銃

    
こんなことで捜査を断念するような警察ではないことを私は今までの経験で知っていたから、
    警戒を解かずに対応することにした。
    といって、私にやましいところがあったわけではない。
    私を名指して訪問してきた警察の意図が分からなかったから、
    それを知りたいという気持ちもあった。
    「真岡の猟銃事件ですね」と私。
    栃木県真岡市は私の住んでいる町から二十数キロの小さな町だった。
    そこの猟銃店が襲われ、散弾銃と銃弾が強奪された事件だ。
    この事件は最初から過激派グループの犯行と判明し、警察の威信をかけて犯人を追っていた事件だ。

    後日、「あさま山荘銃撃事件」へと発展する発端となる「真岡猟銃事件」の経緯について
    説明しておきたい。
   
    事件の発端は革命左派のリーダーが逮捕され、
    獄外にいた組織指導部の永田洋子(元死刑囚・獄中死)たちはこのリーダーが、
    護送車で裁判所に連れてこられる道中を襲い奪還することを計画をたてた。
    そのための「リーダー奪還計画」の武器となる銃が必要となった。
    
    最初に狙われたのは、東京・板橋の交番だった。
    1970年12月、仲間が警察官を襲うが、失敗しその場で一人が射殺されてしまう。

    同志の死は組織に結束と緊張を生んだという。

    警察官の拳銃などで、護送中の「リーダー」奪還を本気で考えていたのだから
    「奪還計画」もずいぶん未熟で甘い考えだったと思う。

    仲間一人を射殺され、目的は「リーダー奪還」ともに「警察への報復戦」ということが、
    左派の仲間たちの間での暗黙の了解事項となった。

    次に狙うことになったのが、「真岡の猟銃店」だった。

       (つれづれ日記№82)       (2023.03.13記)

 

 

 

 







    
                                 

 
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