雨あがりのペイブメント

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ニュースの声(15)  狂気の凶弾に倒れた安倍さん

2022-07-15 06:30:00 | ニュースの声

ニュースの声(15)  狂気の凶弾に倒れた安倍さん
  安倍元首相撃たれ死亡む  (朝日新聞7/9一面トップ)
   自民党をはじめ、警護に当たった警察関係者、突然の凶事に号外を出し、
   唖然としたのは関係者だけではない。
   テレビのテロップを見て一瞬目を疑い、「まさか」という気持ちがやがて数時間後に
   流れたテロップは、「心肺停止」の後流れた「死亡」の文字だった。
   信じられない思いと同時に、泡立つような鳥肌が沸き立ち、私はオロオロした。
   
   朝日は一面に社説を張った。特別の措置に事件の重大性と驚きが厳しい言葉で綴られていた。
   銃弾が打ち砕いたのは民主主義の根幹である。
   前身の怒りをもって、この凶行を非難する。
   ……戦後日本の民主政治へのゆがんだ挑戦であり、決して許すことはできない。
   その罪の危険さ、深刻さを直視しなければならない。
   民主主義をなんとしても立て直す。決して手放さない。
   その覚悟を一人ひとりが固める時である。
         感情を抑え、冷静に伝えるべき内容を吟味し、主張し、ときには啓蒙し
         世論をリードしなければならないジャーナリストとしての理性が揺らぎ
         部分的には感情過多な社説になっている。
         衝撃の深さを物語っている。
   天声人語も、抑制されたてはいるが激しい言葉を紡ぎ出している。
   世を震撼させる事件だが、(テロは)前代未聞というわけではない。
   ……まさか現代の日本で、と書いたが、政治家への暴挙は残念ながら時折
   起きている
   ……どんな政治であっても、それをただすのは言論、そして民主主義の手続
   きである。
         道半ばにして倒された戦前、戦後の政治家の事例をあげながら、
         「暴力の卑劣さは、何度非難しても避難し足りることはない」と
         天声人語氏の激しい息遣いを時々のぞかせる。
         だからこそ私たちは明治半ばの自由民権運動で「言論の自由」や
         「普通選挙制」を獲得し育ててきたのだ。
         
  どんなに立派な法律や条文を作ろうとも、社会は変容しその中で生きている私たちの
  考え方や行動も変わっていく。人間にとって基本的な規範は変わらなくても、いつの
  世にも規範から逸脱してしまう人間や社会的規範から落ちこぼれ、底辺を漂い鬱屈し
  た生活をせざる得ない人間は存在する。
   ただ近年は、動機の曖昧な事件や自分の不遇を他者に転化してしまう事件が多くみ
  られる。どちらの事件も短絡的で、無責任極まりなく自己の正当性を主張するのみで、
  倫理観の欠片も持ち合わせないような人物が存在する。
   例をあげれば、「大阪キタ新地クリニック放火殺人事件」(令和3(2021)年12月17日)
  の谷本盛雄被告や、「京都アニメーション放火殺人事件」(令和元(2019)年7月18日)の青
  葉真司被告の事件などが思いおこされる。安部元首相を襲った事件も短絡的で無節操な、
  自分の不遇を他者に転嫁し、手製の銃を作り負のエネルギーを一気に特定の人にむけてし
  まった事件なのではないか。
   
   歴史に残るようなこの襲撃事件で、無節操な暴漢によって、有為な人材が失われたとす
  れば、倒れた本人の無念さは計りがたく、遺族の方々の悲しみは深く時の流れを経ても癒
  されないだろう。
   
         前回の「 ニュースの声(14)」で次回「ニューの声(15)」では、招待者に「長年にわたりふ
  るまい酒」を提供したのは誰なのかを掲載することを約束した。
  しかし、安倍元首相は凶弾に倒れてしまった。
   バイタリティに富んだ政治活動は評価され、在任中は政治家としての資質を充分に発揮し
  た安倍氏の死を惜しむ声は日本ならず世界の国々や地域からも聞こえてくる。
   「モリカケ問題」は安倍氏の大きな汚点として残ってしまった。同様に「桜を見る会」に
  於いても政治資金規正法違反と公職選挙法違反の疑いがもたれていた。このことを私は私な
  りに糾弾したかったのだが、凶弾に倒れた安倍氏に、死者に鞭打つような行為は今の私には
  できない。従って「桜を見る会」のシリーズは前回の「ニュースの声(14)」で幕を閉じるこ
  とにしました。
   「余人をもって代えがたい」政治家の一人として、私は元総理の安倍氏が大好きだった。
  今はただ、安らかに眠れと祈り手を合わせるばかりである。
 
             (ニュースの声15)       (2022.7.14記)

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