先日、アニメーションの「スノーマン」をみました。原作はイギリスの絵本作家、レイモンド・ブリッグズの絵本で、言葉のない絵本です。そして、それをもとに作られたアニメーションにも言葉がありません。映像と音楽のみですが、あの美しい映像と音楽があれば言葉はいらないという感じです。音楽を担当しているのは、イギリスの映画音楽作曲家ハワード・ブレイクという人で私は詳しくは知らないのですが、映画音楽の他にもクラシックも作曲していたり、映画音楽を弦楽に編曲していたりするようです。
アニメーションの中で主人公の男の子がスノーマンと一緒に空を飛ぶシーンで流れるのが「ウオーキング・イン・ザ・エアー」で、美しいけれども少し物悲しい感じがしました。空をとんでわくわくしているというよりも、幻想的で寒い世界を表しているような。「どこへ行くんだろう?」というような男の子の不安な気持ちも表現しているような気がしました。そして、たどり着いた所はスノーマンたちのパーティー会場。音楽はガラッと変わって楽しい雰囲気になります。あの物悲しい音楽で少し不安な気持ちにさせておいて、次の場面でうんと楽しい音楽を聴かせる。そのことによって観ている人は物語の世界へどんどん引き込まれていくような気がします。音楽の力ってすごいなぁ!と思いました。そして、スノーマンと一緒に男の子の家へ戻ってくる場面では、「ウオーキング・イン・ザ・エアー」の物悲しい旋律が長調へ転調され、安心感と暖かさを感じるような曲に変身していました。主人公の男の子が知らない世界へ行く不安感と、家へ戻ってくる安堵感を同じ旋律でうまく表現しているなぁ、と思ったのでした。美しい映像と美しい音楽で幸せな気分になれた作品でした。