小林紀興の「マスコミに物申す」

第三の権力と言われるマスコミは政治家や官僚と違い、読者や視聴者の批判は一切無視、村社会の中でぬくぬくと… それを許せるか

「安定と挑戦」―ー矛盾するキャッチフレーズで安倍新内閣が目指すのは憲法改正の強行突破か? 【追記】NHK/かんぽ生命問題

2019-09-23 02:51:48 | Weblog
 今年の異常気象は後期高齢者の私には本当に骨身に応えた。もう「老骨に鞭打って」という年でもないし、果たして今年1年持ちこたえることができるだろうかと弱気になったことも何度もある。前回のブログ、横浜のカジノ問題も、こんな短いブログを書いたことは初めてだ。11日には内閣改造があって、安倍総理は新内閣について「安定と挑戦」というおかしなキャッチフレーズを付けた。そのキャッチフレーズのおかしさについてメディアも政治評論家も野党政治家の誰も指摘しない。せいぜい新内閣の人事について、石破派外しが「安定」で、小泉進次郎氏の入閣を「挑戦」とバカみたいな解説をしている程度だ。ま、ある意味では安倍さんの「印象操作」が見事に成功したと言えるかもしれない。
 だが、よく考えてほしい。「安定」と「挑戦」は相容れない反語だ。「安定」は現状維持を意味し、「挑戦」は現状変革を意味する言葉だからだ。しいて善意に解釈すれば、安倍総理に忠実な人材を内閣に揃えて安倍一強体制の基盤をさらに強固なものにするのが「安定」の意味するところで、その体制で憲法改正を一気に実現しようというのが「挑戦」の意味するところか?
 だが、安倍さんの総裁任期はあと2年。その間に通常国会、臨時国会はともに2回しかない。憲法審査会はいまだまともに機能せず、仮に急遽再開することになってもすいすいとは進まない。自民党の中でも安倍改正案が十分に議論されたとはいえず、公明党が無条件に同調するとは限らない。憲法学者の中には「自衛隊違憲論」が多いし、私も憲法9条2項との整合性には大きな疑問を持っている。が、違憲論者の憲法学者も私も「自衛隊は違憲だから廃止しろ」などとは主張していない。実際メディアの世論調査の結果を見ても「自衛隊必要」論が圧倒的に多数を占めている。憲法9条2項を改正すれば論理的整合性は取れるが、自衛隊に戦争ができるお墨つきを与えることには大多数の国民が反対するだろう。とくにいま日本が安全保障上の大きなリスクを抱えていると考えているのは安倍さんくらいで、北朝鮮も中国も日本を攻撃しようなどとは考えていない。もし北朝鮮や中国の核が日本にとっていま大きな脅威だというなら、自衛権の範囲内で日本も核武装するしかない。むしろ安倍さんが北朝鮮や中国の脅威を本当に感じているなら、「非核三原則」を廃止することの方が優先事項だろう。「非核三原則」の廃止なら、憲法を改正しなくても閣議決定で簡単にできる。もちろん国民の大多数は猛反発するだろうけどね。

【追記】26日、時事通信がネットで重要な事実を明らかにした。同日の毎日新聞も朝刊で報道したようだが、ネットでは有料記事のため全文は読めなかった。
 NHKは昨年4月24日、『クローズアップ現代』でかんぽ生命の詐欺まがい商法を基づいて放映した。そのことについて私は今年8月5日にアップしたブログ『日本郵政グループの組織的詐欺はなぜ生じたのか? 昨年4月にNHKが報じていたことを「知らなかった』では済まされない』で書いているので、ぜひ読んでいただきたい。実は時事通信の報道で初めて知ったのだが、NHK『クロ現』スタッフは続編を制作するためネットで情報提供を呼び掛けていたようだ。で、郵政グループはNHKの上田良一会長に文書で「犯罪的営業を組織ぐるみでやっている印象を与えかねない」として削除を申し入れ、さらにNHKの経営委員会(委員長・石原進JR九州相談役)に働きかけ、経営委員会が上田会長を厳重注意したという。その結果、NHKは急遽、情報提供の呼びかけを中止し、さらに『クロ現』続編の制作・放映も中止したという。
 この件についてNHK経営委員会の石原委員長は「放送内容に介入するつもりはなかった」というが、総務省は同日、日本郵政グループに対して厳重注意したという。下手をすると総務省にまで飛び火しかねないからだろう。結果的にNHKは情報収集もストップし、続編も中止しており、NHKの公共性の担保が完全に失われていることだけが浮き彫りになった。おそらく「N国」は「それ見たことか」を勢いづくだろうし、受信料不払い運動に火が付く可能性もある。NHKが公共放送としての使命を果たすためには、放送の公共性をどう担保するかによって決まる。現在のような「NHK職員の、NHK職員による、NHK職員のための」番組作りをしていたら、肝心の視聴者から見放される。まず経営委員を公選制にして、国民のための公共放送の使命とは何かから考え直す必要がある。
 もう一つは日本郵政グループの悪質性だ。少なくとも、私が8月5日のブログで明らかにしたように、昨年4月の『クロ現』ではNHKは日本郵便の佐野公紀常務執行役員に取材しており、かんぽ商品の詐欺まがい商法を日本郵便トップが認めている。日本郵政グループがNHKに圧力をかけてかんぽ悪質商法の報道をストップさせたうえで、今年4月にはかんぽ生命株を大量(全発行株式の4分の1)を売り抜いている。この時期、かんぽ生命株は上場以来の最高値水準にあり、NHKへの圧力は株式売却を成功させるためだったと言われても仕方あるまい。いや、実際そうだったのだろう。そうでなければ、こんな危ない橋を渡る必要がない。(26日記す)




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