昨日米国で「クレジットカードのデフォルト率が急上昇し、実体経済の悪化が懸念される」と書いたが、住宅市場の悪化も鮮明になってきた。ファイナンシャルタイムズ(FT)は以下のように報じている。
- 自分の家を持つということはアメリカンドリームの真髄だった。問題はこの夢が悪夢に変わる兆候を見せていることだ。
- ケース・シラー住宅指数The Case-Shiller housing http://www2.standardandpoors.com/spf/pdf/index/SP_CS_Home_Price_Indices_Factsheet.pdfという統計的にみて最も強い住宅の価格指標が、昨日(火曜日)に多くの人が予測していたより悲観的な様相を示した。住宅価格は第二四半期に20の大都市圏で3.2%下落した。これは過去最大の下落である。価格が下落しなかったのは5つの大都市圏に過ぎない。
- 月曜日にはコンドミニアムやコープなど集合住宅の販売在庫が1年間の販売金額まで積みあがったというニュースがあった。これらのことは米国の住宅市場が更に悪化する可能性があるという明快なメッセージを送っている。
- 問題はサブプライムローンに限ったことではなくなってきた。一番価格の下落が大きいのは高額物件である。連邦住宅公庫適格物件を越えるサイズの物件のファイナンスは「ジャンボ・ローン」に頼ることになるが、ジャンボ・ローンのスプレッドが急拡大している。
S&Pが毎月発表しているこの指数がかなり市場参加者にグルーミー(憂鬱)な気分をもたらした。米国経済の原則は対円でドルを弱含ませた。
この結果本日(29日)の東京では円高と米国景気の悪化に嫌気がさして日経平均は4百円程下げている。一個人投資家としてはグルーミーにならざるを得ないが、一方市場展望を書く身としては、原稿締め切りぎりぎりまで筆を執らなかったことで、かなりクリアな予想が見えてきた。