今朝(11月16日)発表された日本の第3四半期実質GDP成長率は年率換算4.8%と市場予想(2.6%)を上回るペースだった。GDPの成長要因は、個人消費・企業の在庫投資・輸出が各々3分の1貢献した。設備投資がプラスという明るい材料はあるものの、一時的な在庫積み増しや自動車の買換促進プログラムの効果が大きいと見られるため、多くのエコノミスト達は来年前半の経済成長には悲観的である。株価はほとんど動かなかった。
一方ドル円レートは70銭程円高になり、89円台半ばで取引されていた。だが為替についていうとむしろ気になったのは、ブルンバーグに出ていた「財政膨張で『日本リスク』-CDS・オプションが示す円売りマグマ」という記事だ。
ブルームバーグ・ニュースが実施した調査では、回答したストラテジスト37人中32人が2010年6月までに円が現状の1ドル=90円近辺に比べて下落すると予想している。
このような見方に立つとこの辺りが円を売る好機といえるだろう。
ところで今日のニューヨーク・タイムズに「10年たってもダウは1万ドルだった」という記事が出ていた。「投資家は10月末に9,700ドル近辺まで下落したダウが1万ドルを回復したのでほっと一息付いたんじゃないか?でも1万ドル回復といってもそれは10年前と同じレベルなんだ」と記事は書きだす。
99年に1万ドルを突破したダウはその後14,164ドルに上昇して今年の3月には6,547ドルに下落。もっとも99年の1万ドルはPER41.4(10年の平均)の時の1万ドルだから割高で、今日の方(PER18.9)が割安だと記事は述べている。つまりバリュエーションが変わると株価が上昇する余地があるということだ。
だが1万ドルは1万ドル。一方もし10年前世界の株式に分散投資していたならば、年率換算4%のリターンがあったとタイムズは書いている。更にもしエマージング株式(Vanguard Emerging Maket Stock Index Fund)に投資していたら、リターンは12%だったということだ。
記事によると10年前の米国投資家の外国株と米国株の投資比率は1:8、それが現在では1:3まで高まっている。
ところで今の日経平均は9,750円程度。10年前(99年10月29日)の日経平均は17,942円だから株価は半分強になっている。「もし10年前に新興国に投資してたら・・・」などという仮定の話は気分が悪くなるから止めよう。
タフな投資家は過去でなく、将来を見ている。将来を見るということは「そちらに投資した方が将来のリターンが高いと判断すると今の投資の損切りをして、新しい投資に向かう」ということだ。
今のタフな日本の個人投資家は日本株よりエマージング市場を見ているだろう。又米国人投資家から見た場合、日本株のPERの高さとともに今の円も高いということになるのだろう。
タイムズの記事に話を戻すと過去10年間の米国株のセクターでパフォーマンスが良かったのは、エネルギー(配当込みで150%)、プロクター&ギャンブルのような日常雑貨(同65%)、公共事業(同50%)だった。一方悪かったのはハイテク・通信(年率換算8%近い損失)、金融(同3%の損失)、自動車のような裁量的消費財(同2%の損失)だった。
過去の経験は必ずしも将来の成功に結びつくものではないが、グロース偏重はやけどをするという教訓にはなる。