金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

三菱UFJとモルガン・スタンレーのJV難航

2010年03月24日 | 金融

FTに三菱UFJ(MUFG)とモルガン・スタンレーの証券ジョイントベンチャーの交渉が難航しているという記事が出ていた。私はこのディールそのものに詳しくなくそれ程の関心もなかったのだが、三菱UFJについては多少関心があるので、記事の内容を紹介したい。

私が三菱UFJについて多少関心があるのは、3つの理由があるからだ。まず僅かながら同社の株を持っている。残念ながら含み損になっているが。これは同行の業績がぱっとしないというよりは高値で株を買った私の見識不足ゆえなのだろう。

次に三菱銀行出身の末吉竹二郎氏(当時支店長)と昔ニューヨークで一緒にディールを取り組んだことから(正しくいうとディールに誘って頂いたから)、同社にある種の親近感を持っている。末吉氏は「みのもんたの朝ズバッ」などで金融・環境問題コメンテーターとしてご活躍中だ。

最後に私のブログの読者の中に同行の方がいらっしゃり、時々ためになるコメントを頂く。

さてFTの記事に話を戻すと情報源はモルガン・スタンレーのようだ。

リーマン・ショックの最中、モルガン・スタンレーは2008年10月、MUFGに株式持分21%を90億ドルで譲渡した。両行は今年の5月に日本で証券業務を始めるため、二つのジョイント・ベンチャーを発足させる予定だが、条件交渉が難航している。

何故「二つ」のジョイント・ベンチャーを作る必要があるのか理由は分からないが、FTはregulatory issues resulted in the creation of two joint venture companiesと述べている。とまり「元々の合意事項は両行の日本にける証券業務を統合するというものだが、規制上の理由により二つの会社を設立結果となった」という訳だ。

二つの会社の主たる株主はMUFGだが、二社の内の一社はモルガン・スタンレーの現在のオペレーションを引き継ぎ、モルガン・スタンレーがコントロールするという。

両行の従業員を統合する唯一の部門は投資銀行部門だが、モルガンのインベストメント・バンカーは引き続き、モルガン・スタンレーに採用され、ジョイント・ベンチャーに一時的に配置換えされる。両行は別々のキャピタル・マーケットやセールス・スタッフ、トレーディング・チームを持ち、情報システムの統合も行わない予定だ。

素人意見ながらこれでは何のためのジョイントベンチャーなの?という気がしてくる。

事情通によるとモルガン・スタンレーはこのディールに以前ほど熱意を持っておらず、三菱側はディールを有利に運ぶ上でプレッシャーを受けているということだ。

☆   ☆   ☆

私事になるが、この10年強の間、会社の合併やジョイントベンチャーへの参加、あるいは会社の譲渡などを経験してきた。会社の存続に危機感を覚える時は、関係者は小異を捨てて大同を求める。しかし危機が去ったと思うと色々な意見が噴出し、合併の効果を刈り取ることが難しくなる・・・ということを体験した。

MUFGやモルガン・スタンレーという一流の金融機関にしても、このような法則?から逃れることはできないということだろう。いや一流であるが故により主張が対立したり、丁々発止の駆け引きが展開されるというべきだろうか。

コメント
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