4月27日S&Pはギリシアの格付を3段階(BBB+→BB+)、ポルトガルの格付を2段階(A+→A-)引き下げた。欧州の信用不安再燃で、欧州・米国の株安に続いてTOPIXも287円87銭安と今年2番目の下げ幅となった。
先週(22日)のエコノミスト誌はThe importance of not being Greeceというタイトルで、ポルトガル政府は「自分達はギリシアとは違う」と主張していると記事を書いていた。
記事によるとポルトガルの財政赤字はGDPの9.4%(ギリシアは12.7%)、公的債務残高はGDPの85%(ギリシアは124%)だ。また同国の政府会計はギリシアと違い信頼がおける。また必要に応じて厳しい緊縮財政を取り、財政赤字を削減してきた実績もある。中道左派のホセ・ソクラテス政権は改革のパイオニアであり、定年年齢の引き上げを実施している。
それにも関わらずどうして市場はポルトガル国債に高いプレミアム(2年債の利回りは4.8%)を要求するのか?とエコノミスト誌は疑問を投げる。
そして同誌はその一つの答は「ポルトガルの最大の問題は財政問題ではなく、成長性の欠如だ」と述べている。ユーロに加盟して以来ポルトガルの実質GDP成長率はユーロで一番低い。
ポルトガルは低付加価値商品の輸出国だが、労働コストが持続的に上昇し、生産性の伸びを上回ったため、東欧圏に輸出シェアを奪われている。ポルトガルはかって貯蓄熱心な国だったが、今では海外債務に依存するようになっている。
動きの遅い官僚機構、非効率な裁判システム、貧弱な学校教育、規制による競争の欠如、厳格な労働法(欧州で最も労働者保護の強い国)、政治家の改革意識の欠如・・・・・
これらがポルトガルの低成長と競争力劣化の原因である。エコノミスト誌は「ポルトガルは確かにギリシアと違うが市場がこれらの点を注目すると同国の土台を揺さぶる」と警告を発していた。
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ハイテク分野で競争力を持つ日本をポルトガルと単純に重ね合わせることはできないが、幾つかの点で日本も同様の弱みを持つ。
かなり遠い将来の懸念だが・・・・現在のような混迷が続くと、日本がギリシア並みの債務とポルトガル並みの低成長に喘ぐと言われる日が来る可能性なしとはしないと私は危惧している。