昨日(3月10日)米国で史上2番目に資産規模の大きな銀行破綻が起きた。破綻した銀行はカリフォルニア州のシリコンバレー銀行だ。
連邦預金公社FDICは、サンタクララ預金保険国立銀行という新しい組織を設立し、同銀行を管理し、同銀行の預金は総て新銀行に移管されたと発表した。
史上最大の銀行破綻は、2008年のワシントンミューチュアル銀行の破綻で、今回のシリコンバレー銀行の破綻はこれに継ぐ。
同行の資産は2090億ドルで米国16番目に大きな銀行だ。同行の資産規模は日本の地銀最大手クラスに匹敵する。
同行が破綻した背景は、同行がハイテク産業からの預金を中心に預金を集め、その資金を米国債など政府系機関が発行する債券に運用していたことにある。
コロナ需要の一巡と連銀の政策委金利引き上げでハイテク産業の業績は悪化し、新興ハイテク企業はシリコンバレー銀行に預けていた預金を予想以上に早いピッチで引き出し始めた。
またインフレの進行と政策金利の引き上げで債券金利は上昇(価格は下落)し、同行の債券ポートフォリオの価値は低下した。
このため同行は資産増強をはかるため、ゴールドマンザックスを通じて第三者割当増資を試みていたようだが、格付機関が同行の格付引き下げを通知し、増資計画は頓挫した。預金保険でカバーされる金額を超える預金者は他行への預け替えに動き、預金流出が止まらなくなり、破綻に至ったということのようだ。
この記事を読んでいると1990年代の終わりの日本の金融界を思い出す。
株式市場ではシリコンバレー銀行と同じようなプロフィールを持つ~正確にいうと持つと思われる~銀行の株は売り叩かれ、ダウは345ポイント下落した。
昨日発表された米国の雇用統計では2月の非農業部門雇用者増は予想22.5万人を上回る31.1万人で、雇用市場の堅調さが目についた。失業率は1月3.4%から3.6%に上昇した。失業率が上昇した理由は求職者が増えたことによると新聞記事は報じている。
雇用市場が堅調なことも連銀の政策金利引き上げを助長しそうなので現在の相場では売り要因だろうが、昨日は銀行株の値下げがより目立ったと思う。