金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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景気は回復から拡大へ~ただし実感は?

2006年05月10日 | 金融

ブログのアクセス・ログを見ると、毎日の様に閲覧してくれる人がいる。こうなると短い記事でも何か書かねば・・・という一種のプレッシャーを感じる。もっともこれにより話題を探す楽しみが増すので、心地よいプレッシャーと言うべきだろう。

今日は来週発表される日銀の金融経済月報の内容を巡る日米の経済紙の観測を比較しながら、景気に関する雑感を述べよう。

日経新聞は「日銀がゼロ金利政策解除に向けて、戦術を変えながら地ならしを始めた。それは若手行員の『個人的見解』として重要なレポートを発表していることだ。日銀は早ければ五月にも景気判断を「回復」から「拡大」に変えるが、ここでも総裁は『景気は減速しながら拡大している』と慎重だ」と報じている。

ウオール・ストリート・ジャーナルはもう少し具体的に突っ込んでいる。

  • 情報筋によれば、日銀は来週発表するレポート(注 5月22日発表の金融経済月報)で景気判断を「回復」recoveryから「拡大」expansionに格上するかもしれないということだ。多くのアナリストは景気が拡大、物価が上昇、円高が過度に進まないという条件の下、日銀は、7月に短期金利を0.25%に引き上げると予測する。
  • 情報筋は「日銀は今年の初めから景気「拡大」という言葉を使うことを考えていた」「しかし量的緩和政策の下で「拡大」という言葉を使うことは難しかった」と言う。これは量的緩和と「拡大」という言葉が矛盾するからである。景気「拡大」という言葉は1991年11月以降経済月報で使われて以来、14年間使われなかった。
  • 3月に超緩和政策を止めてから、日銀は伝統的な金利ベースの政策に戻ってきた。アナリストは日銀がベンチマークのオーバーナイト金利をしばらくゼロに据え置いても、「拡大」という言葉が使われるなら、日銀が7月にも金利引き上げを開始するという思惑を強めさせると言う。
  • 金利引き上げの意思決定は、7月初めに発表される4-6月の雇用・物価統計、設備支出統計と短観にかかわっている。もしそれらの指標が、超緩和政策のため、経済が過熱状態になっていることを示唆するならば、日銀は短期金利を0.25%引き上げる見込みが高い。

どうみてもウオール・ストリート・ジャーナルの記事の方が具体的で、解説もしっかりしているが、これは記者の能力の差かあるいは日銀筋がウオール・ストリート・ジャーナルにはより詳しい事情をリークしていることによるのかは私には不明である。

さて景気拡大の個人的実感であるが、銀行グループに属する会社にいると賞与が増える訳でもなく(最近は賞与を増やしている銀行も相当あると聞くが)、フローの面で景気拡大を実感することはない。株価は高くなってきた。しかし人間は欲張りなもので「高くなった」だけでは満足しない。今後もっと高くなることに信頼がおけるかどうかということが大切なのだ。その点から言うと様々な理由から株価にはやや停滞感が募っていると思う。

物価については例えばガソリン代は高くなっている。しかしゴールデンウイークに信州など旅したが、民宿の宿代などは昔より安い位なので驚いた次第である。景気回復について地域的なばらつきが多いことは、既に多くのエコノミストが指摘するところだ。東京で土地の値段が上がりだしたから、金利を引き上げるという話は、景気回復感今だしの地方では、余り生活実感を伴う話ではない・・・と思う。

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