「文藝春秋四月号」(令和七年四月一日発行 第一〇三巻第四号 396ページ)
安部首相暗殺のキーマンが登場!驚愕のスクープインタビュー「統一教会と自民党 すべてを知る男の告白」
尹徳敏×武田良太 尹大統領を擁護する/脳を守る 世界標準の認知症予防法
「いざ100歳までの日記⑤ 生きなおすための思いやり(柳田邦男)」のプーチンの本音を見抜けのところで、次の文章が光った。
分析の視点で重要なのは、(1)ロシアの権力者はロマノフ王朝時代からスターリン・ブレジネフの社会主義体制の時代を通して、ウクライナを属国あるいは自国領土として見做してきたことと、(2)ロシアの歴史においては、国家体制やイデオロギーが変わろうと、大量虐殺や暗殺が平然と繰り返されてきたという事実だ。(240p)
(1)を象徴するのは1932年から33年にかけて大飢饉に襲われたとき、スターリンの命令でウクライナから小麦などの食料の約半分を強制移送させ、結果、ウクライナでは7百万人から1千万人が餓死したという事実。
(2)については、スターリンの死後、権力を握ろうとしたベリヤ(秘密警察のトップ)はフルシチョフらによって処刑されたし、プーチンが独裁的権力を握った後、政敵の野党指導者が路上で暗殺されている。仮にプーチンが核を使えば、当然西側から報復の核攻撃を受けることになるだろう。だが、ロシアの市民何百万人が犠牲になろうと、ロシアの権力者はたじろがない。第2次世界大戦中、レニングラード(現サンクトペテルブルク)がナチスドイツに包囲された時、スターリンはまともに兵器を持たない1千万人の市民を防衛線に立ち向かわせたのだから。
ロシアという国家と民族のこうした歴史的事実をしっかりと見据えたうえで、ロシアの世界戦略や外交や国際的な文化政策の”本音”を見抜く必要がある。
日本に近い国はロシアであることを自覚せねばならないし、戦後シベリアに抑留された身内を持つ自分はロシアの現実を見て、これからの自分を守る準備をしなければならない。
「「むなしさ」の味わい方」(きたやまおさむ著 岩波新書2002 2024.1.19 第1刷 204ページ)
著者は白鷗大学学長で、昔ザ・フォーククルセダーズの一員で「帰ってきたヨッパライ」、「戦争を知らない子供たち」「あの素晴らしい愛をもう一度」の作詞者でもある精神科医。
著者の本は何冊か読んでいる。今回の書は蔓延していると感じる「むなしさ」を自己分析を踏まえ、日本語・日本文化や現代社会を見据えながら書いたという。
どちらかというと学術書に近い。「あの素晴らしい愛をもう一度」を作曲した加藤和彦が自死した際、精神科医でもあった著者が傍にいながらどうしてこれを止められなかったのか問われた。
主治医であった別の医師は自死の計画を聞けておらず、聞いていたら著者はひとまず彼を入院させていたともいう。
一人の人間の中には、心の中と外という二つの現実があり、質の違う二つの現実が一人の人間の中に共存している。心の中にある「探し物」は、心の外の世界には存在しない。
失くしたものが見つからなかったとしても、築いたものが壊れたとしても、人から裏切られたとしても、そこに「むなしさ」を感じている。かけがえのない「私」が見つかることだけは、確かな事実なのです。(「おわりに」)
「あなたに贈る21の言葉」(水谷もりひと著 2023.6.2 初版第1刷 発行者日本講演新聞 190ページ)
毎週送られてくる「日本講演新聞」の編集長の著書。
がんばっているあなたへ、ワクワクしているあなたへ、輝いているあなたへ、人生を面白がっているあなたへの4章から成る。
48ページに紹介されている「遺伝子スイッチ・オンの軌跡(工藤房美著 風雲舎)」にはがんで余命1か月をされた工藤さんは「良い遺伝子をオンにするコツ」として、①どんなときも明るく前向きに考える、②思い切って今までの環境を変えてみる、③人との出会い、機会との遭遇を大切にする、④感動する。笑う、ワクワクする。⑤感謝する。⑥世のため、人のためを考えて生きる。と良い遺伝子がオンになるという。一つひとつの細胞と遺伝子にありがとうを言ってから死のう、目や耳、手足、心臓、胃など、健康なところに「今までありがとう」とお礼を言う。さらに患部のがん細胞にもお礼を言う。正常な細胞だったのに私の思考や歪んだ生活を教えてくれるためにがん細胞にさせてしまってごめんなさい。そして、ありがとう」。
頂上下部はガリガリだった。アイゼンを用意しなかったのが悔やまれる。
今日の行先は白老町にあるホロホロ山(1322m)。数年前に同じコースで登ったが、そのときも頂上を見ることなく撤退した。今回は1200m付近で止めた。
雪質は思ったより良く、下りの滑走は満足できた。
四季彩街道を使い、ホロホロ峠トンネル間に車を停めて出発。
5時間。登り629m。距離にして7.6㎞。
「文藝春秋三月特別号」(第一〇三巻第三号 令和7年3月1日発行 572ページ)
今号は芥川賞受賞作品が2つ掲載されているが、「DTOPIA」は未読。
フジ日枝久代表への引退勧告/東大病院の先生が教える大腿骨骨折。「No Time for doubt ノータイムフォーダウト」大谷翔平との2016年のファイターズ 世界の「SYOHEI」はいかにして生まれたか(ノンフィクション作家鈴木忠平)。
「明日を笑顔に 晴れた日に木陰で読むエッセイ集」(山本孝弘著 JDC出版 COCOROの文庫2022.4.1 第3刷 87ページ)
クスっと笑えるエッセイ集だ。著者2冊目。
不幸を不幸と思わない生き方(54ページ)は、えん罪で29年間服役したが、無罪を勝ち取った桜井昌司さんの言葉が光る。「私は不運ではあったが不幸ではない」
その男は「許す方が楽だ」と言った(56ページ)は、松本サリン事件で被疑者となった河野義行さんの言葉「人は間違えるものです。仕方ありません。人を恨むことで人生に与えられる貴重な時間を費やすくらいなら他のことに使いたい。私は人格者ではありません。許すほうが楽だからそうしているだけです」
「「ありがとう」という日本語にありがとう」(山本孝弘著 JDC出版 2023.5.25発行 181ページ)
著者は日本講演新聞中部支局長である。著者2冊目。心の琴線を鳴らす人々、布団の中の温もりのような話、自分らしい生き方を探しての3章からなる、楽しい、悲しい、感動する、気持ちが軽くなる話が満載だ。
「子どもの心を揺るがす”すごい人”たち」(みやざき中央新聞 魂の編集長 水谷もりひと著 株式会社ごま書房新社 2015年 216ページ)
日本講演新聞を発行している編集長の「社説」を集めた本。
第1章 すごい大人たちを知ってほしい~魂の編集長が行く!~ 第2章 親や教育者が子に伝えてほしいすごい考え方~「情報は心の架け橋」by魂の編集長 第3章 すごくいい話は世代を超えてじんとくる~魂の編集長の心が震えた!~
言えることは一つ。過去に降りかかった経験に意味のないことは一つもない。すべてのことが「今」につながっている。(63ページ)
「生きて行く私 下」(宇野千代著 毎日新聞社 1983.9.10 第15刷 244ページ)
上下巻を読んだ。114ページの「花咲婆さん(はなさかばあさん)になりたい」で「人が聞いたら、吹き出して笑って了(し)まうようなことでも、一かけらの幸福でも含まれているとしたら、その一かけらの幸福を自分の体のぐるりに張りめぐらして、私は生きて行く。幸福のかけらは、幾つでもある。ただ、それを見つけ出すことが上手な人と、下手な人とがある。幸福とは、人が生きて行く力のもとになることだ、と私は思っているけど、世の中には、幸福になるのだ嫌いな人がいる。不幸でないと、落ち着かない人がいる。(略)幸福も不幸も、ひょっとしたら、その人自身が作るものではないのか。
他人からすると波乱万丈の人生を送ったと思える著者のこの本は85歳の作品である。
今日の山は蘭越町にある山で、蘭越幌内山(841.6m)を山スキーで上り下りした。標高差740m、11.6㎞。6時間40分の山行だった。途中1か所、渡渉があるが、今回はすんなり濡れることなく通過することができた。
気温はプラスになっていた。道路の雪も解け始めている。
頂上はだだっ広い。
午前中は快晴だったが、昼を過ぎてからぱらぱらと雪が降ってきた。
今日の行先は支笏の湖畔にある多峰古峰(タップコップ)山と瘤(コブ)山。
前者の標高は660.59m、後者は614.2mだ。スノーシューで上り下りした。登り初めから下山まで5時間40分(休憩含む)で7.9㎞、登り515mだった。
多武古峰と書いてタブコプと呼ぶのか。これが転じてコブ山となったのか。アイヌ語でこんもりした独立丘を意味するらしい。タブコップとタップコップも同意義か?
「ゲーテはすべてを言った」(鈴木結生(すずきゆうい)著 文藝春秋3月特別号 318~42ページ上下)
第172回芥川賞受賞作。
読んでの結論。私には芥川賞とは何か、というのがわからない。新しい小説の書き方ともいうのであろうか。ゲーテの名言を巡って研究者と家族、関係者との顛末が本書だが、何が言いたいのかわからない。将来性を見込んでの芥川賞受賞だったのか。
「生きて行く私 上」(宇野千代著 毎日新聞社 1983.12.20 第30刷 250ページ)
昭和57年2月14日から昭和57年10月31日まで毎日新聞日曜くらぶに連載されていた。40数年前の本である。本がかび臭い。
フリー百科事典ウィキペディアによれば宇野千代は1897年(明治30年)に生まれ、1996年(平成8年)に没した。大正から昭和、平成にかけて活躍した小説家、随筆家とある。多才で編集者、着物デザイナー、実業家の顔を持った。作家の尾崎士郎、梶井基次郎、画家の東郷青児、北原武夫など多くの著名人との恋愛・結婚遍歴を持ち、その波乱に富んだ生涯はさまざまな作品の中に描かれている。
本書もその遍歴の一つを描いている。下巻を読みかかっている。
「アトムの心臓 ディア・ファミリー23年間の記録」(清武英利著 文春文庫 2024.4.10 第1刷 230ページ)
著者の最新刊。心臓疾患を抱えた娘は、医師から余命10年と宣告される。町工場を営む筒井夫婦は、娘を救う術を探す。日本のトップクラスの研究者や大学病院を訪ね歩き、「人工心臓を作るしかない」と決意。その開発には莫大な資金と技術力という大きな壁が立ちふさがっていた。(裏表紙の紹介文)
娘は人工心臓にたどり着けず23歳に亡くなってしまうが、死後33年たち、筒井氏が作ったIABPカテーテルは多くの患者を救うことになった。「アトムみたいに鉄の心臓を誰かにつくってもらって絶対に一緒に生きようね」には泣いてしまう。
「阿弥陀堂だより」(南木佳士著 文藝春秋 1995年6月15日 第1刷 234ページ)
著者の本は「ダイヤモンドダスト」(芥川賞受賞)以来、好きな小説家であり、ほとんどの作品を読んでいる。
今回は再読である。30年ぶりの読書だ。
主人公は小説家で妻は医師として設定している。妻は流産を機に精神状態が悪化し夫婦して主人公の生まれ故郷に戻ってくる。妻は週に3回の診療所で診察をする。ゆっくりと流れる奥深い山村での生活で自分を取り戻しいく様子を描いた作品だ。いい作品だ。目頭が熱くなる場面が何度も出てくる。阿弥陀堂に住む堂守の96歳とのふれあいにも涙する。いい言葉がたくさん出てくる。