That's the Way I Am

私の好きなものについて

Hulu ■■羅生門■■

2013年08月04日 14時15分59秒 | DVD・Hulu
Huluで鑑賞
映画家で好きなときに観られるの
嬉しいけど「いいの!?」と思ってしまう



Hulu ■■羅生門■■




yahoo映画の評価(2013年8/4現在) 4.31(5点満点)




ちょっと前に芥川龍之介の「羅生門」読んだ時
「確か、黒澤明監督が映画化してたな~」
と、思ったんだけど
読んでみたらすごく短い短編で
「これをどうやって映画にしたんだ?」
というのが謎だったんだけど

ストーリーは
同じ芥川龍之介の「藪の中」を
ベースにしているのだと分かりました。

更に黒沢監督の解釈とメッセージが
入っていて
小説とはまた別の作品になっていると思いました。












ネタバレ感想



原作の「藪の中」を読んだ時は

突き詰めて考えていけば
面白い解釈に突き当たりそうな気がしたんだけど
面倒くさかったのもあって
タイトル通り「藪の中」のように
ぼんやりとした読後感のままにしていました

漠然と

人は何かを守るために嘘をつくけど
作中の登場人物は皆
自分の自尊心を守るために
嘘をついている...と感じました

罰から逃れることよりも
自分の信念、行動を美化することの方が大切だと



そして、女性の恐ろしさ
魔性を持った
したたかな、底知れなさが
特に浮き彫りにされているようにも思いました



映画版は
その「女性の不可解さ」が
より強調されて見えたように思いました

一番か弱く、非力な存在なのに
泣いてばかりいるのに
実は、一番サバイバルへの情熱が強い

その時、その時の状況を読んで
その場面に一番ふさわしい「女性」を選んで演じてしまう

力の弱い女性
泣いてばかりの精神的にも弱い女性
情にもろい女性
夫だけを愛する愛情深い女性
気性の激しい女性
強い方の男性についていこうとする女性
残忍で非情な女性

か弱さや、情の深さも
油断させるための「演技」なのではないか?
実は最初からとても残酷で屈強なのでは?
サバイバルのための作戦なのでは?



そんな風に感じました



映画版は特に
「誰を信じていいのか分からない」
「人は誰も自分のことしか考えていない」
という台詞が飛び交い
ラスト近くで遂に旅法師は絶望に浸るのですが

旅法師を絶望から救ったのは
自分の利益のために嘘をついて
短刀を盗んだ杣売りでした

「6人育てるのも7人育てるのも同じ」
と、迷うことなく
捨てられた赤ちゃんを連れて帰る杣売りは

嘘をつく狡さも
命を守ろうとする慈悲の心も両方持っていて
自分の中の矛盾に深く向き合うことなく
実におおらかな気持ちで赤ちゃんを迎え入れます



生きていくには
多くの矛盾をたくさん懐の中に入れて
善も悪も丸ごと受け入れ
「それでも生きていく」というしなやかさ・柔軟さが
ある意味、図々しさ・太々しさが大切なのかな
...なんて思いました



雨も上がり
杣売りの抱く赤ちゃんが
優しい光に包まれているシーンは
とても象徴的でした

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