幸田文の箪笥の引き出し (新潮文庫)青木 玉新潮社このアイテムの詳細を見る |
幸田露伴の娘で、のちに作家となった幸田文さんは、
潔くて、働き者で、芯が強くて、深い配慮ができる方。
雑誌「クウネル」の特集でお名前は存じていましたが、
その幸田文さんにまつわる着物話ということで、図書館で借りたこの本を読みました。
幸田文さんの着物の好みが、渋くて格好いい。
身の丈に合ったものを着るという姿勢も素敵。
(掲載されている写真を見ると、うっとり)
着物が日常に溶け込んでいる様子も、現代っ子の目で見ると新鮮に映ります。
(洗い張りは見たことないし、浴衣の縫い方も教わったことがない…)
一枚一枚に思い出があり、そこから文さんの人生が浮かび上がるようです。
(わたしが泣きそうになったのは、『すがれの菜の花』という話。
幸せそうな若い人を見ると荒れるという、薄幸のお手伝いさんが、
再婚のお祝いに、文さんの菜の花の着物を着てお嫁に行きたいと頼むくだり。
菜の花の鮮やかさには、人の生命力を呼び覚ます力があるよね…)
青木玉さんが綴る文章からは、人生の山や谷を一緒に乗り越えた、
母娘の強い絆がうかがえます。
文さんのきっぱりした言葉や行動に、読み手は心惹かれていくけれど、
その文さんの言動を受信する感性がある玉さんも、とても素敵な人。
それにしても、指標にしたい憧れの人に本の中で次々出会えるなんて、
わたしは幸せ者です。
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