しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「慈雨」  柚木裕子 

2019年08月24日 | 読書
「慈雨」  柚木裕子  集英社   

神場智則は42年勤めた警察官を定年退職して直ぐに、妻の香代子と一緒に四国八十八か所の巡礼に出る。
刑事として26年、その時自分が関わった事件の被害者供養の為だった。
そして、その中には悔いを残す事件もあった。
巡礼はすべて徒歩なので、1人で行くつもりだったが、香代子は同行すると言ってきた。
巡礼1日目を終えた宿で、テレビで知ったニュースに神場は動揺する。
それは地元の群馬で行方不明になっていた小学1年の少女、愛里菜ちゃんの遺体が遠壬山の山中で発見されたと言うニュースだった。
神場には忘れられない事件があった。
それは16年前、当時小学1年だった純子ちゃんが行方不明になり、遠壬山で遺体で発見された。
神場は、部下だった緒方に電話で事件の詳細を聞き、2つの事件が酷似している事を知る。
16年前の犯人は捕まり、まだ服役中。
しかし、それは、ある思いを強くさせるものだった。






これは、警察官を定年退職した神場刑事の生き方と思考の物語。
駐在所勤務から始まった仕事と、妻の香代子と娘の幸知の家族の関係。
刑事としての誇りが持てなくなった事件をとして純子ちゃん事件があり、今の事件がある。
少女殺害事件を解決する物語としては少し弱い。
物語の中で、登場人物が気付く前に読者が気付いているだろうから。
事件解決もわりとあっさりで、そこに緊迫感はない。
八十八か所の巡礼の物語の方が面白い。
そこで出会う人や巡礼の仕方など、興味深い。


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