しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「生贄の木」  キャロル・オコンネル 

2018年09月13日 | 読書
「生贄の木」  キャロル・オコンネル  創元推理文庫    
 THE CHALK GIRL        務台夏子・訳

森の中で、袋に入れられて木から吊されていた三人の人間が発見された。
イカれたパーティーガール、狂気に冒された配給所の聖女、そして小児性愛者。
ひとりは助かり、ひとりは手遅れ、ひとりは瀕死の状態だった。
同じ頃、小児性愛者に誘拐されたと見られる女の子がマロリーに保護される。
ココと名乗るその少女は小妖精のような顔立ち、音楽的才能などからウィリアムズ症候群と診断された。
ココの心を思いやるチャールズと対立しながらも、マロリーココに犯人を思い出させようとする。
        <文庫本1頁目より>

「キャシー・マロリー」シリーズ10作目。
もうそなんなになるのか。








今回の事件の発端は子どもの頃の苛め。
苛めはどこの国でも、同じ様にある。
子どもの頃の苛めから端を発した復讐の物語は、最近よくある。
これは苛めだけではない、殺人と言う犯罪を逃れていた者たちへの復讐。
子どもが逃れる為には、親の力と金が必要。
そんなモラルもない社会の人間はたくさんの歪みを生み出している。
過去の事件から、現代に続く、やり切れない出来事。
復讐だという事は分かっても、誰が復讐しているのかが、なかなか分からなかった。
そして、その解決方法も以外だった。
前作で父親に再開したマロリー。
だが、その事はその再会の時どうだったのかなどは全く触れられていない。
だからマロリーの心情の変化も分からないのだが。
職場では、勝手に行動していたマロリーは、事務処理業務に回されていたりする。
しかし、読んでいてマロリーの変化を感じられた。
ココとの関係が、まず顕著に来る。
ココは愛情を開けっ広げに求めて来るから、そんな相手を突っぱねるのは難しいという事もあるだろうが。
マロリーの愛情や優しさは、言葉ではなく行動。
ココに対する愛情や保護の気持ちは、マロリーもチャールズも同じなのだが、立場が違うから対応も違う。難しものだ。
マロリーは今回の事件の被害者にも心を寄せる。
1人でも立ち向かおうとするその心情も、マロリーの心を動かす要素なのだ。
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