ＢＥＡＴ ＩＮ ＴＨＥ ＮＩＧＨＴ

女性コーラスとの掛け合いが、より歌唱力の説得力を引き出している。
このアルバムでまた、歌の腕を上げた石川秀美。
この曲でも素晴らしく、その上達振りを披露している。

前作の19thアルバム：Private nudeでは派手なアレンジの楽曲印象が強く、また”しっとり”だけでなく”じっくり”聴かせるように歌う感も増えた石川秀美の歌の世界である。

12thシングル：ミステリーウーマンに代表されるような、メロディアスかつユーロ／ロック調な曲調にシャウト＆ハイトーンを得意としていた石川秀美だが、あれから数年・・・・・

今回のこの曲もミステリアスであり、ユーロビートな単調なアレンジの曲調の中にあって、
得意のシャウトとハイトーンがない歌唱メロディなのだが、非常に大人っぽく、中音で聴かせ、味わい深い技術力を様々な形で歌を魅せる石川秀美となった。

とても説得力のある歌い方である。
打ち込みサウンド１００％、とてもシンプルな作りでイントロとアウトロ以外はまったくもって一定の流れである。

女性コーラスと語るかのように歌い、アレンジがシンプルなだけに多様なボーカル技術が退屈させない味のある曲として聴くことができる。
ドラム音をもうちょっと良くして欲しかったかなぁ。

持ち味である歌声の色艶感も、アーティスティックな声音となっており、
しっかりした歌い方、吐息めいた歌い方、ＣＯＯＬな歌い方、優しい歌い方など、上手に声色を使い分けて歌っているのである。
そして、じっくりと丁寧な発声法が素晴らしい。

特に最後のサビの繰り返しのあたり、より感情が声に表れているのに力いっぱいでなく、イイ感じの力の抜き加減で情感を濃厚に歌ってるあたりが、
洋楽Ｒ＆Ｂの楽曲と同じで、超好感がもてる。

アルバム１曲目の♪ＰＲＥＣＩＯＵＳ　ＮＩＧＨＴから引き続き、ユーロビート感を踏襲し、タイトル通りビート感が強くなったこの曲。
ビート感よりも、メロディアスになった感じが強いのだが、前曲の盛り上がる楽譜とボーカルに対して、
ビート感を持ちつつ、しっかりじっくり聴かせる珍しい曲となっている。

個人的にもこの曲は好きで、バックミュージックがなくとも聴けるくらいの曲である。
アカペラもしくは、Ｒ＆Ｂテイストにしても映えるであろう。

季節感も初夏、もしくは初秋がちょうどよく、ふと何気なく頭に流れる楽曲。
ただ歌詞の世界観がつかめないとこや、タイトルとの関連性が解けないんだよなぁ。どういう話なんだろう？と。
リリース当時の自分からしたら、もっと激しくスパーク！するような楽曲がいいなぁ？！などと思っていたんだが（アルバム後半で期待の楽曲ありで感謝）、
大人になってから聴くと、いかにじっくり聴かせる曲だったか、という事がよくわかる。
そのくらい、この曲のボーカル力は強い。

更に飛躍した新境地を作った石川秀美であり、ライブパフォーマンスも見たかった作品である。
すごく不思議な感じのする曲だけど、かなり満足度の高い出来上がり。