医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

ビタミンB6,ビタミン12は動脈硬化性心臓病を減少させない

2006年11月14日 | 循環器
米国心臓病学会に参加しています。

昨年のLate Braking Newsに続いて、今年のLate Braking Newsの情報です。

最初に三段論法です。

1、ホモシスチンという物質が体内で増えると動脈硬化性心臓病が増える。
2、ビタミンB6,ビタミン12は体内のホモシスチンを低下させる。
3、ビタミンB6,ビタミン12は動脈硬化性心臓病を減少させる。

1と2は事実です。そこから3という結論が導き出せるかを調査したアメリカでの大規模臨床研究の結果が先ほど発表されました。まだ口頭での発表の段階ですから、詳しいことはわかりませんのでご了承下さい。

対象は動脈硬化性心臓病を発症したことがある、あるいはその危険因子である高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙のうち3つあてはまる女性です。

他のビタミン(例えばビタミンE、ビタミンC,ベータカロチン)を内服しているかどうかにかかわらず、ビタミンB6とビタミン12を内服する群と内服しない群にランダムに分けられ、約7年間調査されました。

結果は、ビタミンB6とビタミン12を内服しても、内服していない群と動脈硬化性心臓病や動脈硬化性心臓病による死亡の割合に差が認められませんでした。そしてこの結果は他のビタミンを内服しているかどうかにも関係がありませんでした。

ビタミンBも動脈硬化性心臓病には全く効果がなかったのです。

この結果を示すスライドが発表されるやいなや、会場内の1,000人以上の聴衆のうち100人以上が「やっぱりな~」とか「差がないとわかればこれ以上聞く必要もないよ」という感じで会場から出て行きました。

実は、会場からそそくさと出て行ったこれらの人たちはおそらく医者ではありません。ビタミンBが動脈硬化性心臓病に効果があるかないかの結果は、ビタミンB製剤を作っている会社にとって死活問題であり、その会社のstock holderが株を売りに出て行ったり、新聞記者が本社に連絡したりするために出て行ったのです。


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コメント (1)
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