心臓には大きな血管が3本あります。脂肪分が蓄積してその血管のどこかに狭い所が生じると狭心症といって胸が苦しく痛くなったり、そこが完全に閉塞してしまえば心筋梗塞といって狭心症と同様の症状に加えて心臓の細胞が酸素不足で死んでしまい、心臓がポンプとしての正常な働きをしなくなる重篤な状態に陥ります。
20年ほど前まではこれらの病気に対して軽症であれば薬の内服のみでそれ以上の進行をおさえるか、重症の場合は冠動脈バイパス手術が行われていました。しかし20年ほど前から風船治療といって足や腕の血管から、カテーテルの先に閉じた風船がつけてある道具を挿入し、狭い場所やつまった場所で風船を開いて広くするという治療が始まりました。そのおかげで重症の場合でも開胸手術をしなくても狭心症や心筋梗塞を治療できるようになりました。
しかし風船療法には欠点もありました。それは治療をうけても半年以内に治療部位の約40%が再び狭くなる(再狭窄)という現象が起きることでした。その欠点を補うために冠動脈の中にステントとよばれるメッシュ状の金属を膨らませて留置する方法が開発されました。今回はその方法の成績に関するCirculation. 2002;105:2986.からの報告です。(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★☆☆)
対象はステント留置に成功し生存退院した405名、424部位です。ステント留置後14カ月の時点で治療した病変に対してもう一度風船療法やステント留置やバイパス手術を受ける必要があったのは405人中88人(22%)で、そのうちもう一度風船療法やステント留置を受けたのが61人、さらにその治療によっても二度目の再狭窄を起こしたのは5人(8%)でした。
つまりステントの登場により再狭窄率は風船療法だけの時の約40%から半分の22%に減少しました。それでもまだステントを入れた5人に1人の方が再狭窄を起こし、もう一度治療が必要になるのです。再狭窄という現象はそのほとんどが治療後6カ月以内起こる事がわかっており、風船治療やステント留置を受けた場合には、6カ月以内にもう一度検査をして再狭窄が起きていないかを確認する必要があるのです。アメリカでは医療費の自己負担分が高いために再度の検査はほとんど行われておらず、胸が苦しくなったら検査をするという場合が多いのです。
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つまりステントの登場により再狭窄率は風船療法だけの時の約40%から半分の22%に減少しました。それでもまだステントを入れた5人に1人の方が再狭窄を起こし、もう一度治療が必要になるのです。再狭窄という現象はそのほとんどが治療後6カ月以内起こる事がわかっており、風船治療やステント留置を受けた場合には、6カ月以内にもう一度検査をして再狭窄が起きていないかを確認する必要があるのです。アメリカでは医療費の自己負担分が高いために再度の検査はほとんど行われておらず、胸が苦しくなったら検査をするという場合が多いのです。
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