山陰本線・玉造温泉駅から南方に2kmほどのところ、玉湯川沿いに旅館が立ち並ぶ玉造温泉は、『出雲国風土記』抄に記載がある奈良時代に開湯した古湯です。
清少納言の枕草紙・117段に「湯はななくりの湯(現在の榊原温泉)、有馬の湯、玉造の湯」と記され、平安時代から名泉として謳われていたことが判ります。
玉造ゆ~ゆは新しい泉源の開発にあわせ、バブル真っ只中の1996年に誕生した日帰り温泉施設です。島根県出身の建築家、高松伸の設計で、施設内には温泉のほか、レストランや小規模なホールなど、複合的な機能を持っています。
路面から奥が高くなっている地形を活かし、斜面に壁を切り込ませ、その壁により天空に直径41mの半球を持ち上げるという大胆な設計。これは美術館であったとしても、とても温泉施設とは思えません。
しかしこの著名な建築家による先鋭なデザインの空間に、多数の幟が立ち、ゲーム機が置かれ、ホールでは「どじょうすくい」をやっているのはなんともキッチュ。高松伸もこれを見たら吃驚でしょう。
浴室には勾玉をイメージした大きな浴槽をはじめ、露天、サウナ、打たせ湯など、スーパー銭湯並みの設備が充実している。しかしムンムン漂う塩素臭にはがっかりです。
しかし、露天の湯口からはかなり熱いお湯が投入されていて、周囲には少なからず析出物があるので、もしかしたらここだけは新湯を流入させているのかも知れません。
・場所:一畑バス・温泉ゆーゆ前
・泉質:ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉 70.8度
・訪問日:2006年6月25日
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