青春の登り坂は傾斜が急だ。
たとえ獣道でも迷い道でも
全力で挑めば答えはついてくる。
輝かしい幸運や時には分厚い壁の挫折も
走り去るカタルシスである。
朱夏の坂は王道が開けてきたり、踊り場に佇んだり
それでも坂の上にある雲は流れながらも
白く輝き待っていてくれる。
白秋の坂は下り坂だ。
何処が頂上の雲だったのか
振り返った自分の影の上に
雲はゆうゆうと流れている。
雨に打たれ、冷え切った体に
風は容赦なく嘲笑する。
ボロボロに傷ついた心と身体でも
奮い発たせて歩くしかない。
つまずいて転げ落ちれば
屍と化す。
ふいに振り返った雲の隙間に天使の梯子がさしていた。