乗った後の景色

電車・気動車・バスに乗ることが好きな乗りマニアによる旅行雑ネタブログです。

「あさかぜ」で段々畑へ

2015-03-09 | 愛媛県
 宇和島に行きました。もらった観光パンフレットによると宇和島駅近くに朝5時から9時までだけ営業する「やまこうどん」というお店があるそうなので足を運んだところ民家の一部という感じで看板も何もなく不安になります。おそるおそる戸を開けたらちゃんとやっていてやさしい味のうどんにはじゃこ天に小海老のかき揚げが入りなかなかの豪華版です。


 食べ物の話ばかり続きますが昼前には宇和島港に面した「道の駅」の「きさいや広場」に行ってみました。魚介類や柑橘類をはじめとする農産物がずらりと並び実にウマそうですが旅先なので買えないことが残念でなりません。こういうところで自炊しながら長逗留したら楽しいだろうなあと思うのですが。


 となれば食べていくしかありません。食堂もあるので鯛めしを頼むと炊き込みご飯ではなく刺身を醤油系の甘いタレと生卵につけてご飯と食べるというものです。「ご自由にお持ち帰りください(何個でもOKです)」なんて書いて伊予柑を置いてある豪気さにびっくりしました。


 宇和島には色々面白い料理があり食堂だけでなく「きさいや広場」やスーパーで普通に売られていたのでいくつか買い食いしました。「丸寿司」は酢で〆たキビナゴやイワシを寿司飯ではなく味の付いたおからで握ったもの、「フクメ」は糸こんにゃくに味付けてデンブや錦糸卵、青ネギを載せたもの、「さつま」は焼いた白身魚をほぐして味噌とダシ汁でのばしご飯や麦飯に掛けて食べるもの、「ふかの湯ざらし」は湯通ししたサメに辛子酢味噌をつけて食べるもの、とどれもあっさりしてウマいものです。


 食べ物から話を変えますが、「きさいや広場」に隣接する宇和島新内港から沿岸~離島への航路(盛運汽船)が出ています。ちょっと乗ってみたくなったのですがあまり遠くに行く時間はありません。行きやすいところを考えると近場の水ヶ浦というところに段々畑(遊子水荷浦の段畑)があり名所になっていて、航路のほかバスも通っているので両方に乗れ好都合です。じゃそこまで行こうと切符を買ったら船名は「あさかぜ」だというのでブルートレインを思い出しました。同じところから出る別の船は「しおかぜ」なのでどっちも特急列車とかぶっているのが面白いところです。
 船のサボに「蒋」なんて字が見えるのはちょっと大陸反攻方面が浮かぶのはさておき、戸島と「蒋淵(こもぶち)」という経由する地名を短く表したものでした。「こも」というとまずは「菰」の字で蒋の字は見なれない感じがします。


 出航すると宇和島港をふさぐような位置にある九島と四国本土を結ぶ橋の工事が進んでいるのが見えました。完成すると渡船はお役御免になるのでしょうか。


 15分ほど揺られて水ヶ浦で降りるとすぐ目の前に段々畑が見えます。


 鳥除けの生首が吊るさってる間に中に何か干してあり、鮮やかな色からカラスミの類かと思ってよく見たらサツマイモでした。東京でよく見る灰色っぽい感じの干し芋とは芋の品種が違うようで、呼び名もこちらでは「ひがしやま」というそうです。


 海沿いに歩いていくと水ヶ浦バス停と売店と食堂がある一角に着きました。


 売店ではこの段々畑で作られたジャガイモを原料とした焼酎があったので試飲させてもらったところなるほどちゃんとジャガイモの香りがする悪くないものでした。「ひなまめ」はあまり固くないおこしといった感じのもので、この地方では雛祭のために家庭でこのひなまめが作られてきたのだそうです。前述の「ひがしやま」もあったので買ってみたところ馴染みのある干し芋の味より締まった味というのかうまく言えませんが気に入りました。


 飲んだり食ったりで肝心の段々畑を忘れてしまいそうですが改めて見ると棚田にくらべ荒々しく迫力があって見応えがあります。ここは霜が降りないためジャガイモが早く育つのだそうです。


 上から見ると小さい畑にもきちんとマルチが張ってあってよく手入れが行き届いていました。ミカン畑などでよく使われる簡易モノレールが使われているものの脚立やハシゴがないと行き来できないところもあり手入れは大変そうです。月並ながらよく作りよく維持されているものだなあと感心しました。

(こちらに続きます。)