謹賀新年
2017年酉年。皆様、本年もどうぞよろしくお願い致します。
正月気分で気は緩みっぱなしだが、さっそく本年一発目の更新。
年末記事では、昨年末に惜しまれつつ解散した「SMAP」の代表曲
「世界に一つだけの花」に因んで、「花」絡みの機種を幾つか紹介。
各メーカーのローマ字の頭文字を上から順に繋げると、「THANKS
SMAP(有難うスマップ)」に読める…という仕掛けをしたのだが、
見事スルー…されたとは別に思っていない。皆様もお気づきの上で、
あえて「静かに彼らを見送ろう」という粋な対応をして下さったと
前向きに解釈している。
そういえば、昨晩、外を歩いていると、西の夜空にこんな光景が。
(実は写メもしたのだが、何度トライしても
ピンボケしてしまったので、イラストに差替)
シャープで美麗な三日月と、煌々と輝く金星の、
見事なコラボレーション。
(SMAP「夜空ノムコウ」が似合いそうな
天体ショーだった)
これを見た瞬間、「おっ、アラジンだ」と思ってしまった私。
「今年もしっかり頑張れよ」と、天から激励された気がして、
やる気がわいてきた。平和の「一番星」も絡んでいるかな。
という訳で、本年最初に紹介する機種はコチラ。
大一商会の一発台(普通機)、「ファミリー」(1990年登場)
まぁ、アラジンとも一番星ともさほど関係はないが、
それはおいといて(一番星も一発仕様(の権利モノ)
なので、あながち無関係ではないハズ)。
上下二段クルーンが特徴の、振り分け式一発台である。
ゲーム性は非常にシンプル(だからこそ、面白かった)。
まず、天下左からセンターヤクモノ真上の命釘を通して、
ヤクモノに玉を飛び込ませる。西陣「ジェットライン」と
似たような命釘で、ジェットラインを好んだ故・田山幸憲
プロの表現を借りれば、「首っ玉」を通すのが第一関門だ。
ゲージ上は、天下右サイドからのアプローチも可能だが、
実際は、右からの入賞ルートを潰す店が多かった。
ヤクモノに飛び込んだ玉は、上下二段クルーンを経由して、
最終的に下段クルーンの当り穴orハズレ穴に入る。上段は
手前1穴と奥1穴の2つ穴。下段は手前1穴、奥2穴の3つ穴。
上段手前に入ると下段に垂直落下するが、上段奥なら
スロープ経由で下段にアプローチする。下段の手前が
大当り穴で、奥は2つともハズレ。上段は手前も奥も
ハズレではないが、構造上、手前入賞の方が当り易い。
以下、その理由を概説する。
クルーンの各穴の位置を見ると、下段手前(大当り穴)の
ちょうど真上に、上段手前の穴がある。したがって、上段
手前で落ちれば、垂直落下した玉がストーンと下段手前に
「ダイレクト入賞」して、当り易かった。一方、上段奥に
入った場合は、スロープを伝って勢いの付いた玉が、下段
クルーンでしばし回転した後、手前か奥の何れかに入る。
これぞクルーンの醍醐味だが、上段手前入賞の時よりも、
ハズレの機会も増える。
但し、上段手前に入っても必ず下段手前に直接入賞する
訳ではなく、狙いを外してクルーン上に留まる事もある。
その場合も、最終的に下段手前に入ればOK。上段手前に
よく入るのに、悉く下段手前を外すのはクセの悪い台だ。
即ち、上段手前に落ち易い台が勝負に有利となる訳だが、
これも、台のネカセやクセで変わった。ネカセで見ると、
そこそこ傾斜のある方が、ネカセ弱めよりも上段手前に
入り易い。だが、あまりネカセが強いと、今度は下段で
奥のハズレにばかり入ってしまうので、痛し痒しである。
無論、クルーン役物には頻繁に飛び込む方が有利だから、
「首っ玉」の命釘や左谷釘周辺の調整も重要となる。
さらに、一発台ならではの「トラップ」といえるのが、
上下クルーンの各穴の大きさであった。上段も下段も、
手前より奥の方が、穴の直径が大きくなっていたのだ。
無論、サイズの小さい方が入りづらい訳で、大当りに
有利な上段の手前穴、そして肝心カナメの下段手前穴
(大当り穴)双方の入賞率を下げる、狡猾な仕掛けが
施されていた訳だ。知らずに打った人も多いだろう。
下段手前入賞で大当りすると、クルーン下のチューリップと
左右両袖のチューリップが開放。私が知るのは、右打ちして
出玉を稼ぐ調整。開放した右袖チューリップの左先端に当った
玉が、その下の右オトシチューリップに頻繁に入って、出玉が
増えていくもの。但し、店によっては通常ストロークのままで、
左袖チューリップが玉の流れを変え、出玉ルートが出来上がる
調整もあったとの事。なお、右打ち調整の場合、右袖チューに
再度入るとパンクだが、店では再入賞しない調整になっていた。
(なお、クルーンの大当り穴に再度入っても、パンクはしない)
また、本機は「音」による演出も特徴だ。「首っ玉」の命釘を
抜けてヤクモノに入ると、大きな電子音が鳴り響く演出が存在。
ドイツ民謡「かわいいオーガスチン」の、耳慣れたメロディだ。
(後に「ワンダーペット(ノミ取り薬)」や「富士通アルカリ
乾電池(ポケモン電池)」のCMにも使われた、有名な楽曲)
その後、下段手前に入れば大当りのファンファーレが、奥の
ハズレなら「ヒューン」という大きなハズレ音が鳴る仕組み。
三つ穴クルーンの一発台では、三共スーパーコンビや
スターライト、さらに平和のサーカスなどが定番だが、
これらは、クルーンに飛び込んでも電子音は鳴らない。
クルーン入賞や当りハズレに、派手な音の演出は無し。
(チャッカー入賞や払い出し時に、音が出たりはするが)
「静かに入れて静かに当てる」のが、これらの台の本来の
特性といえよう。まぁ、台をドツくような客がはびこると、
到底「静か」とは言い難くなるが…。
一方、本機やマルホン「ビッグポーター」などの三つ穴
クルーンタイプは、ヤクモノ入賞の度に派手な電子音が
鳴るから、その一部始終が他の客にもバレバレとなった。
賛否両論あったが、他の台の入賞状況が逐一分かるので、
打ちながら優秀台の目星をつけるのには一役買った。
因みに、本機の二段クルーンとクルーン入賞時サウンドを
ほぼそのまま「再利用」したのが、後に同社から登場した
一般電役「アニバーサリーI」。クルーン入賞音は本機と
同じで、大当り中はロシア民謡「コロブチカ」が流れた。
当時、本機をよく実戦したのは、小田急線・向ケ丘遊園駅
北口の「銀座ホール」(現・Ginza S-Style)という店。
今は2階建てだが、以前はワンフロアしかなかった。
当時、表通りに面した側には、主にデジパチを設置。
奥側には、パチスロや景品カウンターなどがあって、
スロはバニーガールとリバティベルIIIを置いていた
(後にベルIIIはコンチIIIに入替)。スロフロアは
裏口の目の前に位置しており、モーニングを入れて
いたこの店では、毎朝開店前、裏口に行列ができた。
また、通り側のデジパチフロアは照明が明るかったが、
裏口側のフロアはスロに合わせた感じで、照明は暗め。
一発台は、本機と西陣「ジャスティ」、そしてマルホン
「キャラバン」が並んでいたが(以前、キャラバンと
入替で本機やジャスティが入ったと書いた気もするが、
3機種が同時に並んだ時期もあった事を思い出した…)、
ジャスティとキャラバンは通り側の明るいフロアにあり、
客付きもよくて、非常に勢いの感じられるシマだった。
一方、本機だけはスロと同じ暗めのフロア(一番端の
1シマ)に、ひっそりと並んでいた。
暗めの照明に、隅っこのシマ。また客付きもそれほど
良くなかったので、ここで本機を打っていると、何か
「侘しさ」のようなものを感じた。だが、そんな時、
いきなりクルーンに飛び込んで派手な電子音が鳴ると、
シマが一瞬だけ活気を見せた。だが、「キューン」と
ハズれてしまえば、再び、寂しげなシマへと逆戻り…
これの繰り返しだった。同じフロアの反対側では、
バニーガールの華やかなサウンドが、ピュンピュン、
キュンキュン絶え間なく聞こえてきたので、多少は
寂しさを紛らわす格好になっていたが…。因みに、
照明が暗い分、盤面ランプ演出の見栄えは良かった。
まぁ、シマが侘しかろうが何だろうが、大当りさせて
ザンザン玉を出してしまえば、あまり関係なくなるが、
負けてしまうと、途端に寂しさも倍増して、心にも
財布にも寒風が吹きすさぶ…。勝負とは、実に無情な
ものである。
(大一「ファミリー」の項、了)
平成2年10月風営法改正は、正確には「国家公安委員会規則第6号」改定です。
施行日は同年10月1日。新要件機と旧要件機の時期的境目も、丁度この日です。
ご存知の通り、この改正では賞球数、出玉数や継続ラウンド数上限、大当り
確率に関する規定が変わったほか、新たな電動役物の搭載なども認められる
事になりました。さらに、デジパチの「おまけチャッカー」禁止、そして
「一発台の禁止」も明文化されました。条文上、新たに加わった「役物が
作動した場合に(中略)、拡大した入賞口以外の入賞口への遊技球の入賞が
容易になるものではないこと」という規定が、主な根拠だったと思います。
これによって、一発台の「大当りチューリップ(役物)」の開放によって、
玉の軌道が変わって他のチャッカーへの入賞が容易になり、出玉がモリモリ
増えるシステム(というか過度な釘調整)が、法律上認められなくなりました
(元々禁止扱いではありましたが、従来は旧規則の「遊技の公正を害する
調整機能を有しないものであること」という少々曖昧な条文や、各都道府県の
条例、或いは当局の指導などが根拠だったと理解しております)。当然、
デジパチの「アタッカーの開放で、おまけチャッカーに玉が流れて
出玉が増える」例の仕組みも、この改正規則に明確に違反する事と
なりました。
さて、平成2年10月法改正前に検定通過した機種や、改正前に保通協に
持ち込まれて同年10月1日よりも後に検定を通過した機種が、その後に
ホールで設置が認められたか否かは、改定規則施行に伴う「経過措置」
の存在なども問題になるかと思います。但し、その点に関する詳細な
情報を、あまり持ち合わせていません。なお、件の旧要件一般電役
数機種は、何れも平成2年10月1日以前に保通協に持ち込まれており、
適法に検定通過しています(鳥取を例にとれば、フルパンは平成2年
10月30日、アニバとアニバ2は共に同年11月6日に、鳥取県公安委が
検定通過の「告示」を行っています)。
くりくりさんご指摘の通り、これら旧要件一般電役は、初期新要件機の
普及と並行して、平成3年から「ポスト一発台」として多くのホールに
置かれました。(フルパンなどは、当初は関西方面の限定設置で、
その後設置が拡大)しかし、すぐに当局から圧力が掛かった模様で、
登場から数か月で「販売中止」とされたようです。パチンコ必勝
ガイド91年8月号の囲み記事(アメドリ特集記事内「当世権利物
事情」)を見ますと、「(アメドリやアニバが流行っている事に
対して)それを聞いたホツーキョー様は『いまさら旧要件はなかろう』
と、メーカーに圧力をかけたとか、かけないとか。一発台に続き、
旧要件権利物もこれで最後らしい」とあります。
こう考えると、法改正前に持ち込まれた上記一般電役は、適法に
検定を通過したことから、ポスト一発台の期待と共に各ホールが
導入したものの、「肝煎り」である新風営法の規則にそぐわない
旧要件機を設置するのを快く思わない当局が、積極的に圧力を
かけて禁止扱いにしたのではないでしょうか。ポスト一発台なら、
やはり新要件機の権利物を入れろ、という圧力でしょうか。ただ、
既に設置を終えていたホールに関しては、やむなく検定期限までの
設置を認めたのだと思います。
なお、新規則は電チューの「メモリー機能」に関する制約もあり、
その規定に反していたフルパンやアニバーサリーなどは、やはり
「設置が望ましくない」と当局が判断したのかもしれません。
以上、単なる一般ファンの稚拙な一考察ですが、
何かのお役に経てば幸いです。
(追記、ここまで)