1991年(平成3年)に平和から登場した新要件ハネモノ「ジェットスピナー」。
賞球:オール10
最高継続回数:15回
平均出玉:400個弱
出玉は少ないが、大当りし易く、しかも完走しやすいタイプの「遊べるハネモノ」として、マッタリと楽しんでいた。大量獲得型のハネモノが幅を利かせていた時期にあって、こうしたマイルドな台は重宝したものだ。
スピナーは英語で「SPINNER」と書く筈だが、本機の盤面は「JETSPINER」となっていた。90年代初頭は、こういうお茶目なミスが多かったな。まぁ、「造語」と言われればそれ迄だが。
役物内部では、小さなプロペラが付いた回転体が時計回りに動いており、プロペラが水平になると一旦停止する特徴があった。
ハネに拾われた玉が、上部ステージを通って役物奥中央に転がり落ちた時、この回転体が一時停止しているとV入賞のチャンスであった。
中央手前Vゾーンのすぐ前には、上部が平らになっている透明なトンネルがあり、回転体が一時停止した時に下段に落下した玉は、トンネルの上を伝ってV入賞する事が多かった。
また、役物の奥左右に転がった玉が、プロペラに一旦当たってトンネルに乗るパターンもあった。さらに、ハネに拾われた玉が、ダイレクト或いはワンバウンドでVに飛び込む事も多かった。
このように、本機では色々な大当りのパターンがあり、V入賞率は非常に高かったといえる。
大当り後は、回転体が反時計回りに向きを変える。ハズレ玉2カウントで、プロペラを水平にした状態で回転体が停止、左右にストッパーが出現して、玉を1つずつ貯留する。
貯留後に入賞した玉は、役物奥から中央トンネルの下をくぐり易くなる為、V継続は容易だった。また、貯留後は回転体が停止している為、通常時と同様、トンネルの上からもVに入賞した。
ただし、こうしたV継続率の高さは、同時に「早いカウントで次のラウンドに進んでしまう」欠点も併せ持っていた。西陣の「もちあげ隊」なども、同じようなジレンマを抱えていた。
「ジェットスピナー」の名前通り、スピード感のある展開で最終Rまで継続はするものの、各Rで拾う玉数が平均4個程度、しかもオール10と来れば、出玉400個が関の山であった。
しかし、たとえ出玉は少量でも、釘をしっかりと読んだ台で、時間をたっぷり掛けて打ち止めまで持っていく…これが、ハネモノ本来の面白さではなかっただろうか。
モンローやニュートキオなどの「爆裂ハネモノ」にジャブジャブ金を使わされていた自分にとって、ジェットスピナーのように小銭で玉の出入りを楽しめる台は、金銭感覚の「リハビリ」にはもってこいだった。
「新要件機になってから、ハネモノはつまらなくなった」とよく言われるが、あの時代にも玉の動きを堪能できる「名機」が数多く存在した事を、忘れてはならない。