1991年(平成3年)に平和から登場した新要件機「バレリーナ」(2回権利物)。
1991年は、規則改正で一発台が撤去され始めた年でもある。その一発台に代わる存在として、大量出玉を誇る権利モノが各社から登場するようになった。バレリーナも、そんな流れの中で世に出た平成3年の「名機」である。
ゲーム性…まず左肩から中央ヤクモノに玉を入賞させる。ヤクモノ内では愛らしいバレリーナが反時計方向に回転しており、足元には6つに仕切られた盤面がある。ヤクモノに入賞した玉は、盤面のいずれかの仕切り穴に入る。
6つの穴のうち、赤く「CHANCE」と書かれた穴に玉が入り、盤面下のチャンス穴に玉が落ちると、バレリーナの下にあるランプが回り出す。1~8の数字が書かれたランプが4~8のいずれかで停止すると、見事権利獲得となる。
(荒いゲーム性とは裏腹に、メルヘンチックな雰囲気が漂うヤクモノ)
このヤクモノ、見かけは完全な「癒し系」だが、打ち手に不利な仕掛けが施されていた。まず、バレリーナの足元で反時計方向に回る円盤(回転体)。6つの仕切り穴のうちチャンス穴は2つなので、振り分けは1/3と思いきや、良く見るとチャンス穴の部分だけ入口が狭い。実質上の振り分け率は、クセにもよるが約「1/10」であった。
また、最終的なアタリ・ハズレを決める1~8のランプ(デジタル)も、4~8が「アタリ」となっており、見た目の大当り確率は5/8だが、内部的には「1/5」と大幅に悪くなっていた。何度ランプが動いても、ひたすら1~3の「ハズレ」で止まる展開には、思わず「インチキだ!」と叫びたくなった。
結局、トータルでの大当り確率はヤクモノ振り分け→1/10、ランプ抽選→1/5を合算した「1/50」。役物に玉が入らなければ、この抽選さえ受けられないのだから、厳しいスペックであった。
大当り中は右打ちで消化。盤面下のスタートチャッカー入賞でヤクモノ下のアタッカーが開く。一回の権利消化で約2200発の出玉が得られる。ただ、チャッカーに連続入賞すると、その分ラウンド数が減ってしまう為、出玉が大幅に減るケースもあった。
本機は2回権利物であり、1回目の権利が終わると、再び通常のストロークに戻し、ヤクモノ入賞→ランプ抽選を受ける必要があった。但し、2回目のランプ抽選は100%大当りなので、ヤクモノのチャンス穴に入りデジタルが回れば権利獲得となった。上手く行けば、計4000発の出玉となる。
ただ、釘が悪かったり、回転体の振り分けに負けたりした場合、デジタルが全く回らず持ち玉がドンドン減る場合もあった。時には、1回目の権利で出した玉が全て飲まれて追加投資…なんて哀しいケースもあった訳だ。店によっては、最初の権利が終わると店員が玉を手で入れてデジタルを回すという、良心的なホールも存在したが…。
色々と打ち手を苦しめたバレリーナだが、やはり優れたゲーム性はファンの心を掴み、長きに渡るロングヒット機種となった。冒頭の画像は初期セルだが、後に新セルも登場している(バレリーナと白鳥が描かれている)。
また、後継機種も登場し、1992年には「ニューバレリーナ」(盤面上部に「New Ballerina」の赤いロゴ。回転体の振り分け率が改善された⇒これは決して「ネット上の文献」を根拠とするものではなく、1992年出版のI橋T也プロの著作物や、その他の攻略誌でも指摘されていた事である。)、そして1993年にはCR版の「CRバレリーナ」(確変機能搭載)と「ゴールデンバレリーナ」(初代バレリーナの欠点を改善)が相次いで出ている。ちなみに、2000年代に登場した焼き直し機種には、もはや興味がない。
最後に、本機の盤面に描かれた「'91 NEW VERSION」というロゴマークについて。
本機の初期セル・盤面上部右サイドには、「'91 NEW VERSION」と描かれた円形ロゴマークが存在する。これは、スペックが大きく変更された1991年の「新要件機」をアピールする為の表示と思われる。なお、新セルには、このロゴが入っていない。
1991年の新要件初期に登場した平和の各機種には、この「'91 NEW VERSION」ロゴが盤面に描かれている。カンガルーチャンピオン、ニュートキオ、ボイジャー1号&2号、ラウンドラッシュ、バットマン、ぽんぽこ林などの91年のハネモノの多くは、このロゴが付いている。ただ、同年の人気機種「ブンブン丸」には、ロゴが入っていない。
また、91年登場の権利物「エポック」にも上記のロゴが入っている。一方、デジパチについては、このロゴではなく「NEW VERSION 16 ROUND」というロゴが付いている。大当りラウンド数が旧要件時代の10ラウンドから16ラウンドに変更された事をアピールしている事は、明白である。
1991年の新要件デジパチの多くに、このロゴがある。ブラボーストロングα、ブラボーエクセディア、ダイナミック7、ブラボービーナス、センチュリー21、スーパーライセンス、ブラボークリスタルなど、全てロゴ入りだ。
なお、大当り継続14ラウンドのブラボーストロングZにはロゴがないが、ラウンド数からみて当然であろう。また、1991年9月登場の麻雀物語にもロゴが入っておらず、同年9月以降に登場した平和のデジパチには、このロゴが付されていないようだ。