~平成初期マイナー機列伝~
1990年代前半の、「知る人ぞ知る名機」を振り返るコーナー。
1992年(平成4年)にサミーから登場したアレパチ「ザ・ローリングアドベンチャー」
文字通り、「秘境の冒険」をモチーフにした本機。盤面の「ドクロ」が物騒な感じもしたが、その中身は、デジタルとアナログを融合した香ばしいゲーム性だった。
当時、藤商事、太陽電子、三共といったメーカーが「新要件・連チャンアレパチ旋風」を起こす中、パチスロでお馴染みのサミーが、92年末に本機を「刺客」に送り込んできた。
やや唐突ではあったが、元々サミーは、旧・里見工業の昭和期からアレンジボール、アレンジフィーバー、雀球を製造する「元祖アレンジ」のメーカーで、そうした「本家」の意地もあろう。
デジタル当選⇒(電チュー入賞)⇒ヤクモノ振り分けをクリアして大当りする「3クッションタイプ」。当時のアレパチブームよろしく、デジタルの強力な連チャン性もウリだった。
加えて、この連チャンを延々とループさせる、強力な「攻略ネタ」も発覚、一時期注目を浴びた。但し、自分の活動エリアではマイナー機扱いで、設置を探すのが最大のネックとなった。
★ゲーム性の説明
※本機はアレパチなので、16発打つたびに一旦ゲームオーバー⇒リセットとなる。
盤面左肩に赤い7セグデジタル(2ケタ)、その下に「GO」と書かれたスルーチャッカーがある。
「GO」通過で、7セグが変動を開始。ここに「33」或いは「77」が出ると、天下の電動チューリップが、約3秒開放する。
通常時のデジタル確率は「1/50」と甘め。なお、電チュー開放の途中で16発目を打ち切って入賞しなかった場合、いったん電チューは閉じるものの、次ゲーム開始後に再び開く仕様で、電チュー入賞は容易。
但し、これで最終的な「大当り」ではない。さらに、センター役物による振り分けがある。
電チューに入賞した玉は、その下の一穴クルーン(振分けなし)をしばし回った後、さらに下のメイン役物に落下。役物奥から外周のレールを回るように伝って、手前中央に転がる。
(機種名の「ローリング」は、クルーンとメイン役物での玉の動きを示唆したものだろう)。
役物中央には、一定の間隔で開閉動作を続ける小さな「橋」があって、玉の到達と橋の開閉タイミングがピッタリ合うと、玉は橋に乗って奥へ転がり、V穴に入って権利発生(大当り)となる。
デジタルが甘い分、役物振り分け率は(クセにもよるが)1/7~1/9程度とややキツめだった。
なお、役物に入った時、タイミングを計って「ドツキ」を行い、無理やり橋に乗り易くさせるという荒業(「反則」ともいう)もあった。
大当り中は「右打ち」で消化。盤面右肩にラウンド数を示す2ケタの7セグ、その下に「OPEN」と書かれたスルーチャッカーがある。
「OPEN」通過で、右下の電動チューリップが開放する。電チュー入賞で、下段ナンバーポケットの「11、12、13、15」が点灯して、さらに得点も「2倍」となる。
下段ポケット(右)の「13、14、15、16」が全て点灯すると、ジャックポットで「3点」入る。通常、「13」と「15」に入りにくいゲージだが、電チュー入賞でジャックポットは容易だ。さらに、「11、12」も点灯する為、「11~16」が全点灯して(得点2倍も絡み)、MAXの「10点」(160発)を毎ラウンド獲得できる仕組み※。
※アレパチでは、下段ナンバーポケット(1~16)が4つ連続して点灯すると、通常「1点」入る。大当り中の右打ちで「11~16」が全灯した場合、「11、12、13、14」「12、13、14、15」「13、14、15、16」で「計3点」。また、「13~16」全灯なのでジャックポット=「3点」。さらに、電チュー入賞の「2倍」が絡むので、容易に最大の10点に到達する。
計14ラウンドで出玉は2000発弱。もちろん、連チャンが絡めば一気に箱積みも可能(後述)。
★強力な連チャン性
当時の「連チャンアレパチ」ブームを反映するが如く、本機もデジタルの強力な連チャン性を持ち合わせていた。解析資料が手元になく詳細システムは不明だが、挙動からみて、おそらくは定番の「モード移行」を採用していたハズだ。
連モードに入ると、大当り終了後5回転以内に、再びデジタルに「33」「77」が揃う事が多い。通常の「1/50」から、連モード時は「10倍」程度アップしたハズだ。
もちろん、役物での振分けもあった為、「デジタル当選=即・連チャン」ではないが、一旦役物で外れてもデジタルが繰り返し揃うので、V獲得のチャンスは何度もあった。
モードの振り分けは、大当り毎(最終ラウンド)に行われていた(と思われる)。よって、大当り後、デジタルを15回転ほど回して当らなければ、通常モードと判断して止めるのが賢明。
また、連モードでスタートしても、50回転程度デジタルを回してVに決まらないと、やがてデジタルすら揃わなくなる。連モード滞在中、約1/50で通常に転落する仕様だったのだろう。
因みに、通常時の初当り(デジタル当選)も100回転以内である事が多く(実戦データ上)、露骨な低確率の「ハマリモード」は、搭載していなかったと思われる。
★強力な「攻略法」の存在
本機には、ある特定の「条件」を満たすと、大当り後、必ず連チャンモードに入る特徴があった。
しかも、その条件を、打ち方次第で「意図的に狙えた」のだ。
内容は非常にシンプルで、自力で大当りさせたら、最終の14ラウンド目に、盤面右の電チューを「3回以上」オープンさせる。
たったこれだけの条件で、大当り後は連モードからのスタートとなる。まぁ、内部上、電チューの開放回数が、移行モードと直結していた事は明白だろう。
基本的には、最終ラウンドでOPENチャッカーにタイミング良く3回入れば、電チューも3回開く。但し、電チュー開放中にOPENを通過した玉は、全て「無駄玉」となってしまう。当然、普通に打ち続けていると、リミットの「16発」以内に電チューが3回開かないケースも出てくる。
これを防ぐ為、13ラウンドまでは普通に打ち、14ラウンドになったら「単発打ち」に切り替えて、OPENチャッカーに1個づつ確実に通す。また、1、2回目の電チュー開放中も打ち出しを停止。こうすれば無駄玉も減って、より確実に16発で電チューを「3回」以上開かせることが出来る訳だ。もちろん、OPENチャッカーの釘調整が甘いほど、攻略も成功しやすくなる。
場合によってはデジタルの「半永久的な連チャン」も可能で、このネタで荒稼ぎする攻略プロも現れた。当然、店側も設置を躊躇したり、早急に撤去したりするケースが増えた訳で、結果的には、「マイナー路線」を決定づけるネタとなってしまった。
出てたけどネタが原因だったなかなぁ。
興奮度、中毒度はかなり高い台だったと記憶してます。
藤商事のサンライズ的な台でした。
新要件版羽根物エンゼルハートっぽい役物が懐かしいです。
ちなみに、アラビアンチャンスですが、当初は九州地区限定で導入され、激しい連チャン性を有していました。その噂を聞いた関西の法人が、こぞって導入。実際は、出玉が少ない上に、確変中に玉減りのする50%ループ機で、連チャン性では他のアレパチに及ばず、1回の出玉ではフィーバー機に劣る、なんとも中途半端な仕様でした。スルー通過で電チュー開放、拾えば2ケタのドットが回転するという、これまた万人ウケしないゲーム展開で、アッという間に撤去されたのが印象的でした。『3』『7』『チェリー』のゾロ目が確変だったかな?
九州では、販社経由で何らかのカスタマイズがなされたと、風の便りに聞きました。同様に、高尾のトルネードも、導入経路によって連チャン機だったりノーマルだったり。
細かい理由は知らないのですが、当時のサミーは三共と同じ台枠(その他のパーツも?)を使っていましたよね。この機種よりはちょっと後になりますが、CRくだもの畑なんかは印象深いです。
役物が独創的で本当にドキドキしました。
台の写真があるだけでびっくりです