映画『セッション』予告編
色々と論争が起こっている作品ですが、普通に面白かったですよ
音の迫力が凄いので、映画館で観ることをオススメします。
ここから先はネタバレになりますよ
この作品は低予算で作成されているので、ストーリーも実にシンプル・・・かな?
有名な音楽大学に入学して、ドラマーでトップを目指す青年ニーマンが、ビッグ・バンドの指揮者フレッチャーにメチャしごかれる話です
全てのシーンにニーマンが出演しているので、ニーマンが追いつめられていく様がよく伝わってきます。
ニーマンと一緒にしごかれるドラマーが「カール」と「ライアン」です。
フレッチャーのしごきは異常で、完璧主義者的に正確なテンポをこの3人のドラマーに求めます。
深夜2時まで、ひたすら叩かせます
激しい口調で罵り、精神的に追いつめる様は「フルメタル ジャケット」を彷彿させます
常にこの3人にドラマーの席を争わせます。
ちなみにこの作品で披露される楽曲はスタンダードの「キャラバン」と映画の原題になっているオリジナルの「ウィプラッシュ」の2曲だけです。
恐らく3人とも実際に叩いているか不明ですが、実際に叩いているとしたら役者でドラムの経験がないため2曲が限界なのかな・・・?
この2曲をフレッチャーは、「○○小節目の○○拍目から!」とパッパッと演奏させます。
完璧に暗譜していないとついて行けません
自宅でも四六時中ドラムの事ばかり考えていて、せっかく告白してゲットした彼女とも自ら別れます
しかも酷い独りよがり理由で・・・
彼女はこの作品の中で一番普通な生活を送っていて、映画館のモギリのバイトをしていて・・・、将来の夢とかなく普通の大学に進学するため勉学に励み、ニーマンとは”ピザデート”をします
彼女との交際シーンはこの”ピザデート”のみですよ
最後は結局、よりを戻そうと連絡しますが・・・新しい彼氏ができているというオチです
後半にニーマンは、交通事故を起こしてビッグ・バンドの演奏を台無しにしてしまい、バンドの首を宣告されます。
ここでニーマンが「プッツーン!」してステージ上でフレッチャーに襲い掛かり、大学自体を退学処分になります・・・
ニーマンの父は、大事な息子をこんな目に遭わせたフレッチャーを訴えようと、弁護士に告訴するように促します。
ここで弁護士から「フレッチャーは過去にも生徒を精神的に追い込み、うつ病にしてしまった」ことを知らされます。
この生徒というのが、作品の中でフレッチャーが「素晴らしいミュージシャンが交通事故死をした」と言って涙を流しますが・・・、実はうつ病が原因で自殺だったのです
もうまともな精神状態ではない世界です
まだ何処かに「全て伏線で最後に真っ当な師弟関係を築き上げて締めくくるのでは?」という期待を無くさせます・・・
この事実を知ったニーマンはフレッチャーを密告して、フレッチャーは大学を首になります。
ニーマンはドラムから離れ、違う大学に通うことにします。
そんなある日、ふと通り掛かったジャズバーでフレッチャーがピアノを演奏してたので覗きます。
そこでフレッチャーと過去の話で盛り上がるのですが、密告したことは内緒のままです。
「今度、ニューヨークのカーネギーホールでバンドを指揮するが叩いてくれないか?」と誘われます。
ニーマンは久々にスティックを握り、かなり練習したかのようなテーピングをして参加します。
しかしこのステージはフレッチャーが用意した復讐のためのものだったのです
ニーマンが密告者であることを、既にフレッチャーは知っていたのです(^-^;
満員の観客の前で、ニーマンだけに違う演奏曲の譜面を渡して、赤っ恥をかかせます
ステージを命よりも大事にするフレッチャーとは思えない仕返しです。
世間では、これも師弟愛で敢えて試練を与えたのでは・・・という説があります。
チャーリー・パーカーはステージでヘタを打って、同じバンドのドラマーからステージ上でシンバルを投げつけられる逸話を伏線としていたのでは・・・?
・・・私はここまで来ると、とてもそんなキレイな師弟関係は存在しないと思います。
自分の音楽人生を台無しにしたニーマンをただただ許せなくて仕組んだ仕返しだと思います。
ある意味フレッチャーの感情に正直な行動だと思います。
思いっきりしてやられたニーマンは一旦は舞台袖に下がりますが・・・、もう一度ステージにあがり「キャラバン」のフレーズを叩き、バンドを引っ張ります
驚くフレッチャー
ここでドラムソロを披露するニーマン
感情が迸るドラムソロに魅了されるフレッチャー
いつしかつまらない感情は消え失せ、お互いに音楽愛に満たされていきます。
最高の瞬間を作り出すために・・・ニーマンとフレッチャーがアイコンタクトを交わし、感情のセッションをしてこの作品を締めくくります
こんなエンディング、最高です
オススメしますよ