昨日未明にアメリカの中央銀行にあたるFRBのバーナンキ議長が会見を行い、今回は金融緩和を維持することになるが年内中には引き締めに向かう可能性も示唆しました。
その判断にはアメリカの失業率の改善が見られることをあげています。ちなみに日本銀行の目的には物価の安定があるというだけで、アメリカのように失業率については表立った指標にはされていません。白川前総裁の時代までの日本銀行の金融政策が何か国民感覚と乖離しているイメージがあったのは、この失業率との関係を余り重要視していなかったことがあると想います。将来に予想される日銀法改正の内容にもこの要点が入る筈です。
バーナンキ議長の微妙な会見の内容に見られるように、金融緩和の政策から緊縮方向へ転換するのは非常に繊細なオペレーションが必要と言われています。少し失業率が改善されてきているとは言え、それが底堅い実体経済の回復基調に乗っているという見通しと市場の共感が無ければならないからです。今回のバーナンキ議長の会見は大方の予想通りだったのではないでしょうか。
そのバーナンキ議長とも親交のある高橋洋一さんの新書を読みました。第一次安倍内閣に参事官として深く関わってきた著者は、今回のアベノミクスへも大きな示唆を与えていることは間違いありません。
しかし、自ら籍を置いていた財務省や経産省など官僚批判で徹底している著者は、3本目の矢とされる成長戦略の裏に隠された官僚の天下り利権を指摘し、民間主導を薦める一方その経済効果を切り捨てています。第1の矢である金融緩和だけを確りやり遂げることだけで良しとされています。その上でアベノミクスに対するいろいろな疑問や揺り戻しに対して、自信に満ちて冷静・清透に応えている印象が残りました。
こうすれば日本はもの凄い経済大国になる: 安倍内閣と黒田日銀への期待と不安 (小学館101新書) | |
高橋洋一 | |
小学館 |
しかし例えば議論の場合には、初めに否定がきていると、そのあとの部分を重要と思わずに真面目に聞かなくなるようなこともあると感じます。
日本語の様に後に結論があると、とにかく最後まで聞かなければなりませんね。無駄に集中しているようでいて、意外にコミュニケーションが深くなったりしているのかも知れませんね。