愛知・三重県沖でメタンハイドレートの試掘が成功し、船尾に設けられたパイプの先端から炎が出ている光景がテレビ・ニュースで映し出されていました。日本自前のエネルギーとして最近メディアでも熱い注目を浴びています。
TBS情報番組「夢の扉」(5月26日放送)でも採り上げられているのを見ましたが、その後に掘削パイプで目詰まりを起こしたということも報じられました。
今回ご紹介する本は、同じくメタンハイドレートに関するものではありますが、日本海側で10年ほど前から民間「独立総合研究所」が中心となって調査が行われ、現在それに共鳴し大きな希望を寄せる日本海自治体連合による、実現化への挑戦に至る経緯を克明に描いたものです。
前者が東大や経産省など体制の中で大きな予算を付けて、アカデミックに(のんびりマイペースで)進められてきたのに対し、後者はほとんど費用の持ち出しで遣繰りしながらも、私心無く国益を真剣に志しているところが大きな違いです。
深海からなお海底深く掘り下げていく必要があり、技術やコストの面で実現化へは未だまだ困難の多い愛知・三重県沖のメタンハイドレートに対して、日本海側のそれはメタンプルーム(メタンハイドレートの粒が集まり柱状になっているもの)が露出していたり、または浅い表層に賦存(資源などが潜在的にあること)しており、海洋土木技術・低コストなど比較的に実現化が容易だと想定されています。
アメリカのシェール革命で世界の経済勢力図が変わると言われている時代に、我が国初めての自前のエネルギーとしてのメタンハイドレートを巡る真実を、「資源の無い国」と敗戦後も摺り込まれてきた国民やマスコミ、そして政治家はこの本から「一次情報」を正確に知らなければならないと想います。
希望の現場 メタンハイドレート (ワニプラス) | |
青山千春, 青山繁晴 | |
ワニブックス |
国民に向けて書かれた今回のこの本は、日本にとって相当に重要なターニングポイントになる可能性を秘めています。ぜひ読んでみて下さい!