泉心堂治療院

せんしんどうちりょういん

突然に・・・

2019年04月17日 | Weblog
「これまでの人生の中で最高のコンディションを維持できています。」

I さん、男性、70歳。

5年ほど前、腰椎椎間板ヘルニアからひどい坐骨神経痛になり、紹介されて来院。

当初は歩くのもやっとの状態だったが、継続して来院され、回復状況に応じてプールでの水中ウォーキングでリハビリ。

数カ月後には歩行はもちろん、犬の散歩や水泳ができるまでに回復。

それからも元々あった腰痛や時々気になる膝の痛みを改善させたいからと継続して来院。

回復状況に応じ週1回→2週に1回→3週に1回と来院間隔を伸ばし、

2年ほど前からスポーツクラブでスカッシュに挑戦され、楽しまれていた。

昨年は4週に1回のご来院で順調な経過。

そんな状況で昨年は来院の度に冒頭のお言葉をいただいていた・・・


今年、真冬のある日、ご予約の日の前日に奥様よりお電話をいただき、

「4日前に主人が突然亡くなりました」と・・・

あまりに突然のことでこちらも頭の中が真っ白になりつつ状況をうかがうと、

いつものようにスポーツクラブに行ってスカッシュで汗を流し、

機嫌よく晩酌しながら夕食をとり、

寒いからお風呂に入って温まってから寝ると言って入浴されている短い間のことだったとのこと。

あまりのショックでそれから何をお話したのかよく覚えていないです・・・


現代の感覚から言いますと、70歳はまだまだ「若い」です。

体調も絶好調で人生を楽しめていたのであればなおさらです。

「最高に幸せじゃないの」と同年代の母は言いますが、確かにそうかもしれません。

むしろ自分もそうありたいと漠然ながら思います。

しかしながら私でさえ相当のショックを受けたのですから、

ご家族のお気持ちを察するといたたまれなさを拭い去ることは当分できそうにありません。


冒頭のお言葉は治療家としていただく最高の褒め言葉だと思っています。

ただ痛みを取り除くだけでなく、充実した人生・老後のサポートをさせていただけたのですから。


中国医学の古い書物には

「未病を治すのは上(名人)。病気のなり初めを治すのは中。病気になったのを治すのは下。」

と医者のレベルについて述べられています。

亡くなられたのは突然のことだったとはいえ、

最後に来院された時に何か兆候をつかむことはできなかったのか・・・

上までいかずとも、せめて中レベルにはなりたいと思っておりましたが・・・

考えすぎでしょうか?

いえ、考え続けるのが私なりのご供養だと思います。


I さんからは本当に多くのことを学ばせていただきました。

ありがとうございました!