泉心堂治療院

せんしんどうちりょういん

循環と道の医学(1)

2021年02月10日 | Weblog

江戸の町は消費生活とリサイクルのシステムが両立した

循環型社会が確立していたと言われております。

たとえば人間の排泄物である屎尿(しにょう)は

くみ取って江戸近郊の農村に運ばれて肥料として使われ、

そこで育てられた農産物は再び江戸の人々の胃袋に収まりました。

そして人々の排泄物は再び肥料として使用され、作物を育てました。

 

排泄物が肥料となり作物を育て、収穫された作物が食卓に上るのを「大きな循環」とすれば、

人間の身体の中で食物が消化され排泄されるのは「小さな循環」といえます。

この「大きな循環」と「小さな循環」の組み合わせが

江戸における循環型社会システムの一翼を担っていたのです。

 

このように、自然界の循環(大循環)の一部に

人体における循環(小循環)が組み込まれているというのは

「道の医学」の考え方でもあります。

 

そして、自然界の「大循環」と身体における「小循環」の同調性のバランスが崩れた時、

不調や病気が起こるきっかけになると考えます。

 

話の流れで便秘の場合を例に挙げますが、

便秘とは体内の「小循環」から自然界の「大循環」への引き継ぎが何らかの原因で妨げられ、

スムーズに行われていない状態・・・ということになります。

 

そもそも、私たちの食べ物や排泄物のみならず、

人が生まれて土に還るまでの一生そのものが、

自然という「大循環」の中の「小循環」といえます。

 

また、物質的な場合のみならず

季節の循環(四季)、昼夜の循環(1日)、月の満ち欠け(1カ月)など、

自然界の法則、変化などの大循環に対しての、

人体という小循環の呼応についても同様です。

 

様々に存在する自然界の「大循環」と人体内の「小循環」。

この循環こそが『道』をあらわすものであり、

その『道』の把握に努め、役立てるのが

「道の医学」の基本です。