江戸の町は消費生活とリサイクルのシステムが両立した
循環型社会が確立していたと言われております。
たとえば人間の排泄物である屎尿(しにょう)は
くみ取って江戸近郊の農村に運ばれて肥料として使われ、
そこで育てられた農産物は再び江戸の人々の胃袋に収まりました。
そして人々の排泄物は再び肥料として使用され、作物を育てました。
排泄物が肥料となり作物を育て、収穫された作物が食卓に上るのを「大きな循環」とすれば、
人間の身体の中で食物が消化され排泄されるのは「小さな循環」といえます。
この「大きな循環」と「小さな循環」の組み合わせが
江戸における循環型社会システムの一翼を担っていたのです。
このように、自然界の循環(大循環)の一部に
人体における循環(小循環)が組み込まれているというのは
「道の医学」の考え方でもあります。
そして、自然界の「大循環」と身体における「小循環」の同調性のバランスが崩れた時、
不調や病気が起こるきっかけになると考えます。
話の流れで便秘の場合を例に挙げますが、
便秘とは体内の「小循環」から自然界の「大循環」への引き継ぎが何らかの原因で妨げられ、
スムーズに行われていない状態・・・ということになります。
そもそも、私たちの食べ物や排泄物のみならず、
人が生まれて土に還るまでの一生そのものが、
自然という「大循環」の中の「小循環」といえます。
また、物質的な場合のみならず
季節の循環(四季)、昼夜の循環(1日)、月の満ち欠け(1カ月)など、
自然界の法則、変化などの大循環に対しての、
人体という小循環の呼応についても同様です。
様々に存在する自然界の「大循環」と人体内の「小循環」。
この循環こそが『道』をあらわすものであり、
その『道』の把握に努め、役立てるのが
「道の医学」の基本です。