友達のお薦めで黒川創作「京都」を読みました。4つのお話です。
- 「深草稲荷御前町」
- 「吉田泉殿町の蓮池」
- 「吉祥院、久世橋付近」
- 「旧柳原町、ドンツキ前」
高度経済成長期の頃の京都の被差別部落や在日のことが描かれています。地理が詳しく書かれていて、地図が読めて京都に詳しい人はもっと面白いだろうと思いました。地図のわからない私は京都育ちなのでだいたい想像して読みました。前田良造の父親は小児科開業医で中学のPTA会長です。良造は競輪選手になりたいと高校を中退、その後少年院、刑務所へと。アナトール・フランスの「いつの世も、幸福と不幸の絶対量は同じである」という考えに良造は共感しています。「同じ出来事が、ある者(もん)には幸福を、別の者には不幸をもたらしたりする。つまり、幸福とか不幸ていうのは、結局のところ、同じものごとの、それぞれの1面からの見え方で、その全体を考えたら、幸福と不幸は常に同量やとー」 高瀬川は細く長く汚い流れだったと書かれています。そんな時があったのかと驚きました。同じような名前が出てきてややこしかったりしたので、こちらに掲載する前に、もう一度ざっと読み返しました。深く考えさせられる小説でした。そういう歴史の上に今の京都があるのだなと思いました。現在京都で活躍されている「新洗組」というボランティアグループがあります。早朝から高瀬川をお掃除されています。そのおかげできれいな高瀬川を見られているのだなと思いました。京都が身近なだけにいろいろな思いを持ちました。
2024-12-9(月) 図書館資料 請求番号:913/クロ
またそちらも読んでみたいです。難しいかもわかりませんね。
aoyamaさんは武谷三男さんの研究をされているのでよくお名前が出てくるのですね。
黒川さんは本当によく京都をご存知です。
京都の裏の顔というのですかね?そんなことまでしっかりご存知です。
私は一応武谷三男の研究者ということになっているので、黒川さんのお父さんの北沢恒彦さんが編纂された武谷三男の『聞かれるままに』(思想の科学社)という本を持っています。
よくは存じないのですが、この北沢さんも「思想の科学」の研究会に属されておられたので、黒川さんも若いときから鶴見さんをご存じだったようですね。
黒川さんは作家になられたのですが、若いときは「思想の科学」のお世話もされていたとかどこかで読んだです。
京都で育った方だからそういう小説を書けたのでしょうか。sureという出版社をされてもいるのでしたかね。