「マルセル」ー高樹のぶ子作を読みました。新型コロナウィルスの影響で時間セレブの私にまたたっぷりの時間がプレゼントされたので、読書三昧の暮らしを楽しんでいます。この本は本当にあった絵画の盗難事件をもとに、高樹のぶ子さんが実に興味深く面白く書かれています。舞台は東京・神戸・京都そしてパリ。1968年京都国立近代美術館で開かれた「ロートレック展」の最終日に起きた「マルセル」の盗難事件です。こちらの本の表紙に描かれているのが「マルセル」です。時価3,500万円相当だったそうです。主人公は瀬川千晶さん、独身、東京で新聞記者をしています。あかちゃんの時から母親がいなくて父親に聞いても詳しいことを教えてもらえませんでした。父親が亡くなって残ったメモなどからこの事件に深くかかわっていきます。出生の秘密、両親の実像、盗難事件の3つのことを追及していく、とても複雑な内容です。最後まで気が抜けません。盗難事件には贋作が関係しています。最初からコーヒーを淹れるパーコレーターという器具がたびたび登場するので大事な役割を果たすのかなと思っていましたが、その通りでした。贋作を作るのにコーヒーが必要なのです。それも特別なコーヒー、「キングスモカハラー」が!キングスモカハラーはエチオピアの高地で作られる油分が少なく香りが強いコーヒーだそうです。コーヒーには私もちょっと関心があります。それはラオスへ行って丁寧に作られるコーヒー豆のことを教わって、応援したい気持ちが湧いたからですが、島崎愛子先生の講座では「コピ・ルアク」というコーヒーも頂き、コーヒーと聞くだけでも「エッ?」と条件反射してしまいます。さて、贋作に「キングスモカハラー」がどのように関係しているのでしょうか?!面白いです。この事件はすでに時効が成立しています。保険も支払い済のようです。世の中は複雑です。舞台が京都で北白川疏水のあたり、以前も行って偶然お花見をしたところです。今度行く時は瀬川千晶さんと一緒に・・・と言っても私の心の中の千晶さんです。
2020-3-16(月) 図書館資料 請求番号:B/タカ
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