ホアキン・フェニックスが主演する、バットマンの悪役ジョーカーの誕生物語です。
公開前から傑作か、それとも問題作かと、国内外で大きく話題になっていた作品。ヴェネツィア国際映画祭ではアメコミ初の最高賞を受賞しました。日米同時公開でしたが、アメリカではジョーカーに影響を受けて銃を乱射する人が出るかもしれないと、厳戒態勢の中で公開されたシアターもあったとか。
そんな話題性もあって楽しみにしていた作品です。授業が休講になって急きょ見に行きましたが、平日の朝一番の回だというのにシアターはほぼ満席でした。ひと足先に見ていた息子からも興奮してLINEが来ていたので、この日の夜はテキストで1時間以上やり取りしてしまいました。見た後で無性に誰かと語り合いたくなる作品でした。
ジョーカーは、アメコミに出てくる悪役で、この作品はその誕生物語という映画独自のストーリーです。荒唐無稽なところは全くなく、リアルでシリアスな、大人のための考えさせられる作品となっていました。不寛容で生きづらい今の時代を反映していて、社会的、政治的メッセージも感じとれる、深い人間ドラマです。
舞台は荒廃したゴッサムシティ。コメディアンになることを夢見ながら、道化師として働き、孤独で報われない日々を送っていたアーサー(ホアキン・フェニックス)は、電車の中で3人のエリート社員たちにからまれて暴行されます。その時、とっさに持っていた銃で彼らを撃ち殺したところから、物語は動き始めます。
社会の変化の中で置き去りにされ、閉塞感を抱くようになった人が、ある日耐えられずに爆発するという事件は、ここ近年、例えば秋葉原の事件とか、日本でもたびたび起こっています。でもジョーカーがそうした犯罪者と決定的に違うのは、彼の怒りが弱者に向かわないということ。彼の犯罪にはちゃんと理由があるのです。
例えば発端になった3人にしても、ほんとうにクズなんですよね。 (私は「アメリカン・サイコ」を思い出しました) とはいえ、こういうクズがうまく世渡りしているのも現実で... いや、犯罪は絶対許されるべきではないのだけれど、うしろめたさを感じながらも、ちょっとすかっとしている自分がいました。
これが例えば、スパイダーマンだったら、悪者をやっつけた、よくやった!と素直に称賛していたのではないかと思います。ジョーカーだとどうしてもやもやしてしまうのか。自分の良心という仮面が引きはがされるような気がしてしまうからかもしれません。
アーサーに対しては、最初はまったく共感できなかったのに、ジョーカーとなった彼が、テレビのショーに華麗にステップを踏みながら登場した時には、カッコいい~ なんて思ったりして。一方ではそういう自分を認めたいような、認めたくないような、不思議な葛藤も起こっていました。
冷静に考えると、自分でもどうかしていたと思いますが、そうさせるだけの説得力のあるストーリーと、それを裏付けるホアキン・フェニックスの怪演がすごかった。是非見て体感していただきたいです。
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これ、本当に素晴らしい映画でしたね。
とにかく、ホアキンの演技が凄いので、彼とともに世の中への怒りが募らされる感じでした。
人はとことん追い詰められ、絶望の淵に立たされたら、アーサーじゃなくても、誰でもジョーカーになってしまうかもしれない・・という社会派のテーマの作品でしたね。
だから、これまでのアメコミ映画とはちょっと次元が違ってますが、「バットマン」ファンとしては素直に嬉しいし、アメコミ映画初のヴェネツイア金獅子受賞なんかも本当に嬉しかったです。
息子さんともたくさん感想語りあえて良かったですね。
アメコミ映画はどちらかという苦手でしたが
この作品はほんとうに傑作とよぶのにふさわしい映画でした。
ホアキンの演技もすばらしかったですね!
役作りの凄まじさに圧倒されました。
誰でもダークサイドに落ちる可能性を持っている
ということに気づかされる恐ろしい作品でもありました。
バットマンシリーズもリアリズム路線でしたが
より社会派で芸術系の作品として昇華されていましたね。
金獅子賞も納得です。
息子と語りながら、彼の成長も感じ取れてうれしかったです☆
誰かと語り合いたくなる作品でしたよね~
息子さんとも映画の話で盛り上がれるなんて素敵です。
実際自分でもクズどもを成敗したアーサーにスカッとしてしまうダークな部分が顔をのぞかせてしまい、映画を観ながら複雑な気持ちになりますよね。
ただ、今までスパイダーマンだったらクズをやっつけてOKでジョーカーだったらダメという概念を誰かに植え付けられてきた事へも疑問を投げかける映画になっていたようにも思います。
ほんとうに見応えのある作品でしたね~
なかなかまわりにご覧になる方がいらっしゃらないので
こうしてお話できてうれしいです。
息子とも深夜にすっかり盛り上がっちゃいました。
誰もがジョーカー的な部分を持ち合わせている
ということに気づかされてしまう恐ろしい作品でした。
>スパイダーマンだったらクズをやっつけてOKでジョーカーだったらダメ
ほんと、これなんですよね。
世の不条理についても考えさせられました。
ホアキンは熱演していますし、力作だと思いますが、ちょっと個人的には話が暗すぎて。。
特にラスト近くは見ごたえはありますが、前半の暗さがちょっと乗れませんでした。
ホアキン・フェニックスの演技、圧巻でしたね。
もともと演技派の俳優さんでいらっしゃいましたが
今回の役作りの凄まじさには驚かされました。
映画の前半はかなり暗かったですね...
でもだからこそ、アーサーの思い余っての行動が
説得力をもって共感できました。
後半はダークヒーローとよぶのにふさわしい変貌ぶりでしたね。
はっきりした悪役とも違い、社会の中で、善とも悪ともはっきり決めがたいグレーゾーンの一般人は、ジョーカーの存在とは常識に対する問題提起なのでは無いでしょうか。
可愛くないピエロ役には、今時子供でも笑わない。大人向けのブラックジョークを飛ばしながらも、自身を可愛く装うスタイルには、かっこ良さも強く見せる狙いも無く、自分自身を標的にするものでは無いでしょうか。ジョーカーが一番笑い飛ばしたかったのは自分自身なんでしょうね。
ジョーカー、間違いなく犯罪者には違いないですが
誰もが彼の側にになりうる恐ろしさを秘めたキャラクターでもありましたね。
アーサーは人を笑わせて幸せにしたいと願っていたのに
実際には人から笑われる存在だった...というのが哀しいアイロニーでした。
途中でチャップリンが登場したのにも意味を感じましたね。
しばらく前に、猿の惑星ファイヤーストームという小説を読みました。これに登場する類人猿が
「ぼくサーカスで人間の物まねしていたんだよ。人間たちはそれを見て笑っていた」
というように述懐するのです。それで、仲間の類人猿が
「人間はどうしてそんなことをするのだろう」
と不思議がると
「自分たちを憎んでいるからか?」
と推測する。ふーーーーーむ。
「ジョーカー」はアメコミにインスパイアされたとは思えないくらい
シリアスで重い作品でした。好みは分かれるところですが
私はこいう社会派の人間ドラマが大好きなので堪能しました♪
「猿の惑星ファイヤーストーム」は映画からインスパイアされたスピンオフ小説なのですね。
「猿の惑星」はオリジナルの小説にも衝撃を受けましたが
2001年からの映画シリーズも大好きです。
こちらも深いドラマがありますね。