ジョージ・クルーニー監督のノスタルジックなヒューマンドラマです。
僕を育ててくれたテンダーバー (The Tender Bar)
Amazon Studio オリジナル作品。先日、ブログフレンドの瞳さんがご紹介されていて、絶対私の好みの作品に違いない!と早速 Amazon Prime で見てみました。男の生き方というテーマは、今の時代には合わないかもしれませんが
ノスタルジックで、心に響く作品でした。こういうリアルなアメリカを描いた作品が大好きです。もうひとつ見たかった理由は、私がかつて住んでいたニューヨークの郊外、ロングアイランドを舞台にしていたから。
主人公が育った Manhasset は、映画では庶民的な町として描かれていましたが、実際にはユダヤ系のお金持ちが多く住む、美しい住宅街です。(撮影はボストンで行ったそうです)
原作は、ピューリッツァー受賞のジャーナリスト、J・R・モーリンガーの自伝。主人公のJRは、両親が離婚したために、母といっしょに大家族である母の実家に移り住み、祖父母や叔父に見守られながら成長していきます。
バーを営む叔父のチャーリー (ベン・アフレック) は、父親に代わって歯に衣着せぬことばで、JRに本を読むこと、男の生き方を教えます。母に言わせれば父はクズだということだけど、自分のラジオ番組を持っている父は、JRにしてみれば遠い憧れの存在。
それでいて自分の名前がJr. (”息子”を指すことば) から来ていることが嫌でたまりません。父親を求めつつ嫌悪するアンビバレントな感情の中で、自分のアイデンティティの不在に悩むJRを、タイ・シェルダンが好演していました。
つかず離れずの距離感で愛情深くJRを見守るチャーリーを演じるベン・アフレックもとてもよかったです。ストーリーは全然違いますが、ベンの「グッドウィルハンティング」やベンの弟ケイシー・アフレックが主演した「マンチェスター・バイ・ザ・シー」に
ちょっぴりテイストが似ているとも思いました。アメリカ東部を舞台にしたこの手の作品に、私はつくづく弱いです。
父の幻影を自分の中からいつまでも追い出すことができなかったJRでしたが、父を訪ねた先でどうしてもゆずれない場面に居合わせたことで、見切りをつけてようやく決別をはたします。そこに叔父の教えが伏線となっていたことにもグッときました。
叔父の愛車を餞別にもらって、育った家を旅立つシーンは、グッドウィルハンティングのラストを思い出しました。アメリカでは、車が特別の意味を持つことを再認識する場面でもありました。
エール大学での学生生活。肌の色の違うルームメイトたちと会った初日に意気投合したり、シドニーに恋するも身分違いであることを思い知らされたり。こんなところにもさりげなくアメリカの一側面を感じました。
他にもいろいろ語りたいことがありますが、きりがないのでこのへんにしておきます。^^
決して派手ではありませんが、しみじみと心に響く作品でした。
私も原作を読んでみたくなりました。(邦訳が出ているのかしら。)
アメリカでは男の子の場合、お父さんの名前にJr.をつけることがありますね。
また、女性が結婚した際に、旧姓をミドルネームにすることもあります。
家族関係が良好であれば、こういうのもまたすてきですね。
あるアメリカ人俳優が、自伝の中で、ふしぎな話をしていました。そのひとの長男が生まれた時、奥さんが
「あなたのファーストネームをそのまま継がせましょう」
と言い出したそうです。この俳優さんはその型の命名法(親の名をまるごとつける)が大嫌いで。反対したんですが奥さんも頑固。結局ファーストネームをミドルネームにするということで折り合ったそうです。
このへんの考え方も様々なのでしょう。
すてきな作品をご紹介くださり、ありがとうございました。
本作、とっても気に入りました♪
主人公JRの繊細な心の動きが、ていねいに描かれていてよかったですね。
瞳さんがご紹介されていたおじいちゃんが学校に来てくれた話とか
ひとつひとつのエピソードが心に残りました。
叔父さんから大事な車を受け継ぐラストは、まさにアメリカっぽかったですね。
本作のベン・アフレック、とてもよかったです!
セレンさんの感想に、何度も何度も頷きつつ読ませていただきました。
あちらに住んでらしたセレンさんには、なお心にくるものがあったでしょうね♡
>父親を求めつつ嫌悪するアンビバレントな感情の中で
まさにまさに~!!息子ならではの複雑な感情を好演していましたね。会うたびに裏切られるのに、でもやっぱりどこかで求めてしまう・・・。
ラストシーン、車の餞別もまさにアメリカっぽさを感じました。
それにしても本作のベン・アフレック、素敵でしたね♡
そうそう、今の時代からみたら「男の生き方!?」って言われそうですが、大好きです(笑)