いわき市立美術館では、12月15日まで「牛腸茂雄写真展 生きているということの証」が開催されている。
牛腸茂雄は、3歳で胸椎カリエスを発症し、その後成長がとまり、背中の曲がりを抑えるために上半身ギブスでの生活を強いられた。絵画の道を志すも、桑沢デザイン研究所に入校し、写真を学んだ。
今回の企画展では、生前に制作された写真集『日々』(1971)、『SELF AND OTHERS』(1977)などに収録された作品と、未完に終わった『幼年の「時間(とき)」』の作品など約200点が展示されている。 作品の多くは「人」に視点を当てており、とりわけ、モノクロの子供の写真からは、混じりけのない素直さを感じることができた。
また、牛腸の直筆の手紙や精神分析に関する本といった愛読書など、関連資料の展示もあり、作品以外から牛腸の人となりを推察することができた。
九十九里浜に一軒家建てて住む予定であったが、1983年、36歳という若さでこの世を去った。
展示の最後のコーナーに、牛腸の年賀状が展示されていた。ミヒャエル・エンデの「モモ」の一節、それは「時間」に関すること。もしかすると、自分の時間を確認していたのかもしれない。
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