大店というのはいまでいう総合商社ってところでしょうか。
江戸のメインストリートに面したところにドーンと店を構えております。
こういう立地条件の良いところで商売ができるのは限られた商人たちです。
江戸の商業地区のつくりは、メインストリートに大店。
小売店簿は大店の通りの裏に軒を連ねます。
さらにその奥露地にはいわゆる集合住宅である長屋が並ぶ、というのが定番の構造でした。
長屋には店を持たない職人やボテフリ商人(屋台やてんびんに商品を乗せて売り歩く)が住んでいました。
長屋に住めるということは市民の証し。
江戸時代は士農工商の身分制度ががっちりと組み上がった時代でもあります。
身分が保証されなければ長屋にも住むことができなかったのです。
落語や講談ではのんびりとした大家さんと店子のやりとりや、お武家と庶民の痴話げんかなどが取り上げられていますが
実際は歴然とした身分社会でもっとシビアな棲み分けができていたようです。
そしてこれが長屋暮らしのスタンダード
半軒サイズの台所に4畳半。
風呂なし、
トイレは長屋の敷地の奥に共同トイレが設置。
井戸も共同です。掃除は共同で。トイレは汲取式。
(臭い話ですがこの排便排尿は専用に引き取る業者がいて、郊外の農家へ肥料として売却。長屋の収入源でした。)
え?他の部屋は?
ありません、他の部屋というのはお隣さんの家
それにしてもなんというコンパクトさ!
一般庶民はこの小さな空間を実に合理的に使いこなしていました。
お産も自宅で。
ご浪人の内職の定番、長屋の寺子屋
長屋を出て一軒家をかまえることが,いかに出世だったか実感できますね。
明日に続きます。