続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『ズビネック・セカール展』②

2014-01-27 06:58:19 | 美術ノート
 この作家を知らず友人を誘うにも、この作家の名前を正確に発音できないほど、耳からの情報も聞き覚えも無い。怠情を圧して訪れた近美/鎌倉別館。

 ズビネック・セカール・・・作品に漂う強い寂寞、震撼とするような深い孤独の空気感に、一瞬顔を背けたくなるような反感を覚えたが、それにもかかわらず、背中を引っ張る圧倒的な引力がわたしを惹きつけた。

 明るさや陽気とは無縁である。愉しく弾むようなリズムも刻まれていない。
 重く、暗いのである。けれど、静かに響く存在論的な叫びが聞える。木霊していると言ってもいいかもしれない。

 作品は平衡を保っているが、どこか歪で、不安を搔き立てる。隠している、何か本心を隠しているようなバリアが張られていて覗けない秘密がそこに内在している。

 この重さを量りかねてじっと凝視せざるをえない。作品の隙間に烈しい慟哭があるからである。離れても遠のいても追いかけてくるような旋風がわたしの中で舞い上がり、セカールという作家の執念に恐怖したほどである。

 セカール作品に垣間見えるカフカの影。恋しくも切ないカフカの香り・・・。


 おまえは、最大の課題にただ触れるだけでもいい、その課題の迫ったことをかぎつけるだけでいい。それが存在することを夢みるだけでいい、せめてこの夢想をこい願うだけでいい、願いのための文字を習うことから始めてもいい、と言う。(『カフカ全集』3より/翻訳者・飛鷹節/新潮社刊)

『ポラーノの広場』222。

2014-01-27 06:33:08 | 宮沢賢治
「はい、ございます。」わたくしはまっすぐに両手を下げて答へました。所長は安心したやうにやっと顔つきをゆるめてちらっと時計を見上げましたが
「よし、すぐ行くやうに。」と云ひました。


☆霊(死者の魂)の衆(人々)の果(結末)は、等(平等)である。
 諸(もろもろ)の懲(過ちを繰り返さないようにこらしめる)の案(考え)を審(つまびらかにする)。
 信仰の慈(いつくしみ)や恵みを願い、照(あまねく光があたる=平等)の考えを運/めぐらせている。

『城』1517。

2014-01-27 06:16:40 | カフカ覚書
だのに、この人がわたしの言うことを信じないで、いつまでもクラムのところへ押しかけていけるとおもっているのなら(なぜそんな希望をいだくのか、わたしには理由も目的もわかりませんが)、せめて頼みの綱になるのは、この人の気持になって考えてあげると、クラムとのあいだにあるこの唯一の、ほんとうの職務上のつながり、つまり、この調書だけです。わたしが言ったのは、ただこれだけの事実です。

 信じる/glaubt→grauen/灰色になる、恐怖、戦慄。
 職務上の/amtliche→endlich/乏しい。
 
☆彼がわたしに恐怖を覚えないで、いつまでも(なぜ、何のためにそんな希望を抱くのか知らないけれど)クラム(氏族)のところへ突き進むのかしら。わたしの感じ(直感)では、多くの先祖が本当に乏しい結びつきなのか、助言できるのはクラム(氏族)とともにあるこの記録だけです。