続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

変遷。

2015-02-24 06:56:14 | 日常
 一軒の家にも歴史がある。
 三十年のうちにも六つの家庭が順次移り住んだ家が近所にある。

 今また新しい家族の入居が決まったと家主は言った。
 三番目に住んだ人は町内のもう少し大きな家に買い換え転居。四番目の住人が結婚と同時に購入したけれど間もなく離婚し、その親御さんが今の家主ということらしい。
「なんでこんな家を買っちゃったかなぁ」と家主さんはつぶやいた。六番目の住人が出て行ったあと、「メンテナンスに七十五万円もかかり、まだその上、網戸や給湯器を新しくしなければならない」という。
「それにね、前の住人、破産したということで、家賃は未払いのままなんだよ。わたしも退職してから十八年、こんなことで苦労したくないよ」と、嘆いた。

 わたしの知人からも同じような愚痴を聞いたことがある。ご主人を失くし息子さんと同じマンションに移り住み安心したものの、元の住居を貸家にしたら、余禄どころか、家賃収入は税金や補修費などを考えると恐くて使えず、別の通帳にしていると言う。
 借り手のつかない貸家をやむなく解体、さら地にしたけれど、今度は雑草取りに追われ面倒で仕方ないという話もある。

 持てる者の悩みといえばそれまでだけれど、家が余るという状況は今後ますます深刻化して行くように思う。憧れだった家が捨てられて行く事情は高齢化の影響が大きいかもしれない。それにしてもどの街角にも溢れるようにいた子供を今は見かけなくなってしまったのは淋しい限り・・・。


 家のなかで家族が笑いさざめく幸福が、幻のように消えていく。失ったものを取り戻すのは難儀である。
「昔はねぇ・・・」年寄りの愚痴より未来への再生、《今日より明日がきっと良くなる》そういう信念をもって生きていきたい。

『冬のスケッチ』35。

2015-02-24 06:46:09 | 宮沢賢治
一二
    日輪白くかゝり在はせど
         *
    さっきのごりごりの岩崖で
    降り出したのは雨ではなかったぜ
    霙らしかったよ。 霙だぜ。


☆化(形、性質を変えて別のものになる)が輪(順番に回ること)を吐く(言う)。
 罪を含む涯(はて)を講(解き明かす)ことを推しはかる。
 迂(まわりくどく)翳(ものにおおわれたもの)を営(こしらえる)。

『城』1889。

2015-02-24 06:26:12 | カフカ覚書
この気も遠くなるほどはるかな将来とそのあいだになされるはずのかがやかしい発展とが、彼を魅了した。そして、彼は、この将来の値段で現在のKを先物買いしようとおもったのだ。この願いには、特別に子供らしいこましゃくれたところがあった。


☆この賞賛を回って、現代のKは(状態を)取引しようと考えた。なかんずく、この不変の願いはかつての子孫の苦痛の訴えであった。